ハロウィンらしきことは何もせずに終わった10月。子供の仮装やかぼちゃのディスプレイは可愛らしいと思うのですが、それ以外はなんだか滑稽に見えて、ひいてしまうの。
今年もあと2ヶ月ですね~。うっかりしているとあっと言う間に暮れそうなので、意識して丁寧に過ごしていこうと思います。
先日、実家から新米をもらいました。弟が天塩にかけて育てたもの、ありがたく味わおう。お米の他にも畑の野菜やいま食べごろの柿も。柿は畑の脇に植わっていて、小さいときはよくもいでたっけな。
田舎ならよく見かける柿。ありふれた秋の味覚という感じですが、防腐塗料や染料の材料としての柿渋や、保存食の干し柿など、昔の人は当たり前に作っていたのでしょうね。ある造園職人さんに聞いたことがあるのですが、古い柿の木は、囲炉裏の框を組む材料となり、とても高級品なんだとか。和菓子づくりにおいて、甘さの最上は干し柿の甘さ、なんて言いますし、二日酔いに食べるといいとも聞いたことがあります。
柿のいいところはまだまだ。「柿の七絶」といって中国の「酉陽雑俎」という書で、その素晴らしさが説かれています。絶えてないほど素晴らしい、七つの絶妙なるところ、という感じでしょうか。
一 壽,・・・長寿。上手に食すれば寿命が延びる。
二 多陰,・・・葉がよく茂り日蔭をつくる。農作業の休憩場所になる。
三 無鳥巣,・・・鳥の巣無し。
四 無蟲,・・・虫がつかない。
五 霜葉可翫,・・・秋霜にやられず。紅葉は目の保養に。
六 嘉實,・・・実が美味しいこと。
七 落葉肥大。・・・落葉腐葉土は良い肥料になる。
姿を愛でる木ではないし、たくさん成っても持て余してしまうから、庭木としては、ほとんど需要がないのですが、これほど郷愁を感じる木も他にないような。目を閉じると浮かぶのは、橙色の実をたわわにつけ重そうに垂れる柿の木と、稲刈りあとの株が並ぶ田んぼ。そして夕焼け空・・・。
柿を味わいながら、柿の木の良さを改めて感じています。