国葬の花

金木犀の花香るころになりました。

私が香りを特に強く感じるのは早朝。良い香りで一日を始められて幸せです。

何処かで植え育ててくれている方にありがとうを伝えたい。

常緑樹の金木犀は単木で植えてもいいし、生垣にしてもいい。素晴らしい木です。

++++++++++++++

この秋は、イギリスと日本の国葬があって、色々と物議を呼びましたね。

安倍元首相の国葬について、個人的には「政府が勝手に決めて勝手にやってしまった」という印象です。少しは国民の意見を聞いて行われた国葬ならば、もっと違ったものになったでしょうに残念です。

そういえば、弔問外交をアピールしておられましたが、その成果はあったのでしょうか?全然聞こえてません。式が済んでしまえば、メディアで取り上げられることも議論されることも減って、政府はホッとしているのだろうと思うと、何だかなぁ。モヤモヤだけが残ります。

さて。

どの国でも葬儀には必ず花は飾られますが、今回の二つの国葬で花の使い方に、お国柄が出てるなぁと感じました。

安倍元首相の式壇のお花は、荘厳な中にもモダンな印象もあって、シンプルで、なかなか素敵なアレンジだったのでは。

富士山をイメージしたとありましたが、これは安倍さんが富士山を好きだったかららしい。外国の方にとっても、日本=富士山という印象はあるでしょうから、国葬のモチーフとしてもピッタリ、と思われたのでしょう。

ちなみにこのとき使われた花や献花は、堆肥の材料となって、都内の公園に施肥される予定だとか。国葬があったことで菊の値段が高騰したらしいので、せめてゴミにしないようにね。良い使い道だと思います。

一方イギリスの国葬では、女王陛下の棺を飾った弔花が大きな話題になりました。

王室の庭の花々を束ねたもので、花の選定には、園芸家として有名なチャールズ国王も関わられました。花々の中には女王陛下の婚姻時のブーケを挿し木で育てたマートルの枝も含まれており、ブーケを作る際にはフォームを使わずオークの枝と苔をベースにするサスティナブルな方法で作られたとか、様々な情報があります。

棺に添えられた王室の庭の花たち。マートル、バラ、アジサイ、スカビオサ、ダリア、セダム、ローズマリーなど。他にキンギョソウやフロックス、南天っぽい葉も見えました。品種は違えど、ほとんどが日本の花壇でも見られる植物で、意外と馴染み深い。それほどイングリッシュガーデンが日本に根差したということかしら。

庭の花だから、あんなに可憐で自然な雰囲気のブーケになったのですね。

それにしても、人生の最後を飾る花が庭の花とは、さすが園芸大国イギリスの王室、です。

このような使い方が自然に出てくるということは、もちろんエリザベス女王が、生前庭を深く愛していらしたからだと思いますが、そもそもイギリスの暮らしに、庭の植物が深く関わっているからでしょう。

庭を造る者として、また、ガーデナーの一人として、庭との関係性の理想を見せていただいた思いです。

Please Share!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

目次