私が少女だったころ、夢中で読んでいた漫画「キャンディ・キャンディ」。ノベライズがあることをつい最近知りました。最初の出版は1978年、90年に再版された時も知らず。2010年出版の「FINAL STORY」を遅まきながら読みました。私のように漫画しか知らなかった方にオススメです。半日あれば読めて、別世界で遊べる本。ゴールデンウィークにいかが?
「キャンディ・キャンディ」は大ヒットしたので、色々な会社や人々が取り合って、随分と揉めていたようです。そんな背景も知りませんでした。原作者の方のHPを見ると様々な裁判の様子が見て取れ、純粋に物語に遊ぶことができない葛藤がわかります。それでも読者としては、この物語は唯一無二。昔から絵が好きだった私は、どれだけキャンディを描いたか!キャンディと共に過ごせた幸せな少女時代を思うと、作ってくださった方には感謝しかありません。
(今日のブログはキャンディ一色です。ネタバレ必至。ご興味ある方は続きをどうぞ。)
孤児で悲劇のヒロインキャンディが、明るさを失わずいくつもの苦難を乗り越え成長していく物語です。お転婆で笑顔が可愛い彼女は、とにかくモテまくるけれど、両思いの人とは絶対別れる運命なの。舞台はアメリカやイギリス、スコットランド。かわいい服やお姫様ドレス、タイプの違う魅力的な男の子がたくさん出てきて・・・。コレって昔の少女漫画の王道です。文字を追いながら、頭の中では漫画のキャラクターが次々浮かんで、懐かしさでいっぱいでした。
大人になって読み返すと、キャンディの自己犠牲心と独立精神の強さ、どんなときも何か楽しみを見つける生き方には改めて感心させられます。そして、キャンディを強烈にいじめてたイライザ。彼女の気持ちも今となってはわからないでもないです。(階級社会&好きな人がキャンディといつもかぶりこっぴどく振られるので)でもキュンとくるポイントは変わってなくて泣ける~。あぁまだ私の中にも、少女がいるんだなぁ、なんてね。
キャンディが逆境に立たされたときいつも思い出す、孤児院のポニー先生の言葉が深いです。
「この世はいくつもの糸で複雑にめぐらされていて、糸がほどけるまで、幸不幸は決められないものです。ですから、キャンディ、あきらめてはいけません。」
「澄んだ心で信じきって前へ進めば、必ず道は開ける。」
「曲がり角の向こうに何が待っているかわからない。」
漫画では描かれなかったことが色々書かれているのも嬉しい。キャンディのささやかな望みは「愛する人と生きていくこと」物語のラストではどうもそれが叶えられたようです。でも、でも、相手は「あの人」としか書いてなくて、「えぇぇエェーーー!そりゃないよー。」とがっかりさせられます。
あとがきには次のように書いてありました。
「あの人が誰かを描くには、長い物語が必要なのです。けれど、それを書くことはもうないでしょう。それにあの人を明かしてしまうと、長年の読者たちの夢を奪うことになるかもしれない、とも思いました。(きっと賛否両論でしょうが)謎は謎のまま、想像の世界を楽しんでもらえたら、と(ちょっと、いたずらっぽく)願ってます。
テリィ?アルバートさん?どっち?どっち???
イライザのその後も気になるんだけど。