秋も深まってまいりました。
このごろは仕事に忙殺されて、せっかくの美しい秋を堪能出来ておりません。
事務所に籠る日が快晴だったりすると、恨めしく思ってしまいます。
そんなときは、シーツとか、カーテン、ソファーカバーなどの大物を洗濯してカラッ乾かす!という大仕事を自らに課し達成感を煽って見たり、ちょっとでもテラスに出て外気に触れ、深呼吸してストレス解消しています。
遊びに出掛けられないけれど、そこは自営業の特権で、ちょっとした隙間時間や移動時間などにちょっとした楽しみを見つけられなくもない。
そしてもうひとつ。造園業という職業の特権も。
現場はもちろん、材料屋さん、視察場所、お客様宅など、行く先々にはたいてい植物があり庭があり自然があります。仕事の緊張感は伴うけれど、それぞれに秋を感じられます。
先日は、とあるお客様宅で素敵な秋のおもてなしに感激しました。
栗の生菓子をいただき、更に、ご亭主がお抹茶を点ててくださったのです。
茶筅を振るときの所作や、久しぶりに見る抹茶色、お茶碗に浮かんだふんわりクリーミーな泡・・・美しいなぁとしみじみ思いました。
お抹茶をいただきながら、話題は映画「日々是好日」の話になりました。ご亭主が茶道を学ぶキッカケのひとつとなった映画らしいです。
「日々是好日」は森下典子氏の同名エッセイを映画化したもので、茶道を通じて季節の素晴らしさと生きる喜びが静かに描かれた作品です。樹木希林さんの遺作としても知られています。
私はおそらく公開翌年の2019年に見て、その流れで原作も読みました。
それから昨年秋に発売された映画の制作秘話「青嵐の庭にすわる」を読んで、また映画を見返し原作のエッセイ「日々是好日」も読み返して、またまた「青嵐の~」を読み返し、映画を見てはエッセイを読んでと、かなり沼っていたのは今年の初めくらいだったか。
映像の美しさ、お茶の所作や室礼の素敵さが存分に味わえます。それに加え「そうそう、季節って、植物って、そうなのよ~」と共感する部分が多く、それを文章や映像で堪能できる3作なのです。皆様にも是非セットでお楽しみいただきたいです。
この作品のことを語れる相手が身近にいたなんて、と嬉しかったです。
そういえば、うちにもお茶碗と茶筅、茶匙だけはあります。
茶道の心得は全くないのですが、お抹茶飲みたさで、たまになんちゃって点前をしています。最近はそういえば使ってなかったなと思い出しました。
久しぶりに自分でも点ててみよう。