GW能登旅-建物探訪編

遅まきながらGWの話題、前回の続きです。第2回目は建物探訪編。

今回の能登旅では和倉温泉・加賀屋さんに宿泊しました。

加賀屋さんは「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選(旅行新聞新社主催)」というランキングで長年第1位、2023年も第1位のホテルだそうで、それを知った夫が予約してくれました。

加賀屋さんのエントランス。到着から出発するまで細やかな心配りをしていただき大満足です。

かなり早めに着いてしまいましたが、チェックインは当たり前のようになされ、荷物を預けて観光に出掛けることが出来ました。更にナント、お部屋をアップグレードしてくださって。これは嬉しいサプライズでした。同ランキングでおもてなし部門も1位は頷けます。

チェックインした後はこちらのラウンジでお薄と和菓子をいただいて(さすがお茶文化の盛んな石川県です)。海を眺めたり頭上の天女を鑑賞しつつ、一息つきます。

夫婦共通のお楽しみはもちろん温泉やお料理で(大満足しましたが今回その話は省略します)、今回私が最も楽しみだったのは、和風建築をゆっくり堪能することと、館内の美術品を巡るツアーに参加することでした。

いつも旅先では美術館探訪も必ずするのですが、今回は近くにあった七尾美術館にそれ程興味が湧かなくて、それより断然、加賀屋さんの「館内は美術館」ツアーの方にそそられたわけです。

加賀屋さんの館内には石川・能登の伝統工芸品が至るところに飾ってあり、中には人間国宝の作品も。地元の芸術家のパトロン的な役割も担っていらしたんですね。とても品のある「湯ばんと」さんの案内で小一時間、色々な作品を見せて頂きました。

漆や漆器、加賀友禅の手法を使った作品が多く、それでも能登のお人柄なのか華やかなのに主張しすぎることはなく、どこか控えめ。本当に見応えがありました。

館内に置かれた美術品が紹介された冊子。

さて、アップグレードされたお部屋はと言うと、オーシャンビューの控えの間付のお部屋で、私達には持て余す程の広さでした。

客室玄関脇の靴箱。格子の障子、置かれた壺、静かな室礼に大人の落ち着きを感じます。

最近はリニューアルしたてとか、築年数の浅いホテルに泊まることが多くて、今回のようなある程度年月を重ねたホテルは久しぶりです。もちろん清潔さは折り紙付きで、水回りの使い勝手も全く問題ないので、ただただ年季の入った室礼を味わうのみです。

奇をてらった造りはどこにも見当たらないけれど、全てが丁寧な仕上がり。斬新なインテリアも面白がれる私達夫婦ですが、こういうしっとり落ち着いた空間も大好きです。

館内に飾ってあったお花も、どれも瑞々しく、ありふれてなくて、とても良かったです。一輪挿し程度が飾られてあるホテルも結構あるのですが、こちらはしっかりと活けられている、また、要所要所に場の大きさにあうものが活けられている、そんな印象でした。

左:客室玄関~踏込み。広ーい! 右:6帖の控えの間もあり。ここで身支度を整えたり。
客室。床の間がゆったりしていて古き良き和風空間という感じ。映っていませんが塗りの豪華なテーブルと膝掛け付き座椅子4客が置かれています。
オーシャンビューの広縁。4人掛けのテーブルセットがゆったり置けるのでここも結構ひろめ。
ディテールがしっかり和風建築。天井も一部竹の編み込みだったり、変化が付けられていてちゃんとしてる。

さて、石川県といえば、そして七尾市といえば、パティシエ辻口博啓氏の地元。彼のお店は県内にたくさんあります。加賀屋さんのグループ企業でもあるようで、ホテルの敷地のすぐ横にティールームがありました。

辻口さんのお菓子というと金沢駅で買える「YUKIZURI」や金箔シュークリームが有名。ケーキは滅多にいただけません。

お店に行くと、GWということもあり席が空くまで40分待ちでした。お店の中にいても仕方がないので、温泉街を観光して待っていようと外に出たのです。

パティシエ辻口さんのティールーム「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」加賀屋さんから歩いて数分のところにあります。
入ると正面に海が見えます。マンションの1Fで内装はモダン系。以上、という感じ。ロケーションが最高。

温泉街をぶらついてティールーム近くまで戻ると、突然、地震速報のアラームがなりました。そう、珠洲市を震源とするM6.3の大地震の瞬間でした。

幸い和倉温泉のある七尾市は震源地から50km以上離れているので、M4程度で済みました。外にいたので、揺れている自覚はほとんどなく、とっさのことで高い建物から離れた広い駐車場に行く程度しか出来ませんでした。本当に何もできないものですね。

幸い、津波の心配もなくそれ以上の地震は起こらなかったので、その後、しっかりケーキを堪能したという。ホント呑気なことで。

素材がいい系のお味。組み合わせも良くて美味しかったです。

折角なので3種のケーキを食べ比べ。海を見ながらゆっくりお茶できます。

夜にもM3程度の余震があって、これは流石に感じましたが、しっかりとした建物ですし怖さはなかったです。ホテル側の対応もきちっとされ、安心して眠れたのですが・・・珠洲市の方々の無事を願わずにはいられませんでした。

最後に。

自分へのお土産で良きものに出会いました。

輪島塗の文箱です。8年程前から書道を嗜んでいる関係で、ずっと自分好みの硯箱を探していたのです。

出来れば漆器で、蓋の模様は派手でない、でも素朴でもないモダンなもの。硯箱の蓋を明ける時、ワクワクするようなそんな品がないかな、と書道具店やネットオークションなどをチェックしまくっていたのですが、ピンとくるものに全く出会えずにいました。

それが、能登で出会ってしまったのです。見た瞬間「これ好き!」と思ったけれど、値段が値段(私にとってはお高め)だし、その場で買わずに一晩じっくり考えて決断しました。厚かましくも交渉したら、お店の方も快く値引きをしてくださり有難かったです。

輪島塗の文箱を自分のお土産に購入。黒光する漆の美しさ、ぽってりとした姿も良くて。
沈金という手法で宝相華文様が施されています。吉祥文様らしい。このくらいさり気ない方がモダンに見えてマブチ好み!

本当にシンプルで綺麗な文箱です。硯箱ではないけれど、硯はお気に入りのを既に持っていますし十分です。これでまたお稽古に励めそうです。

コロナ禍明けて、世間様も随分と動いている中、久しぶりに足を延ばすことが出来たことを幸せに思います。

身体の保養、目の保養もさせてもらい、良き手仕事の品にも出会え、本当に良い旅でした。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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