前回の続きです。ディアガーデンのある近江八幡市のモミジ名所として有名な教林坊さんで香道体験をしてきました。
きっかけは先月お香喫茶で沈香をかがせてもらったこと。そのときのことをブログに書いて、それを読んでくれた友人と話が盛り上がりまして。今度は本格的な香道を体験させてもらえる所はないかと探してみたら、案外近くで見つかりました。こちらの募集は年に2回だけなのですが、たまたまタイミングが合ったことも幸いでした。
何も知らないので身一つで伺って、しかも普段着です。
先生とお寺の方、他にもお着物を召された方がおられました。先生はモダンな飛び柄の小紋。着慣れておられるのでそれはもう素敵で、やっぱり着物はいいなぁと見とれていました。勝手な想像で女性ばかりかと思いきや、半分は男性。しかもお若い方もおられ、少しばかり驚きました。私たちのような初心者もあわせ全部で17名の会です。
まずは、先生が簡単に香道のいろはを教えて下さいます。香道とは、灰の整え方や用具について、聞くときの香炉の持ち方、聞き方の作法など、なんとなくの知識の意味がわかり、この時点でもう引き込まれました。
そしていよいよ沈香を聞くことに。順番に香炉が回ります。
嗅覚だけでなく五感全てを研ぎ澄ませて香ること。それを「聞く」と表現します。心静かにゆっくりと3回。綺麗なもので身体の中を浄化するかのようなひと時でした。
次は組香というお遊びです。あるお題に基づいて問題がだされ、香りを聞きあてるゲームです。これ、やってみたかったんだ♪
今回は夏の会でしたから、先生は、百人一首の中から「夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ」という夏の句をテーマに選ばれました。清原深養父という方の句。この方、実は清少納言のおじい様なんだって。
月と見立てた香りを最初に聞いて、それに当てる3つの香りを雲一、雲二、雲三とします。その中に月と同じ香りがあるかどうかを判断するゲームです。答えは月の名前で、雲一が同じ香りと思ったら「宵」雲二なら「暁」雲三なら「有明」などと紙に書きます。さて雲のいずこに月宿るらむ?
計4回聞くので、もうわかりません。先生曰く、ほとんどわからないものらしい。だから正解しなくても当たり前なんですって。それを聞いて気が楽になりました。
ぱっとわかるものもあれば、微かに違うような?というものも。どれも柔らかないい香りです。私は香りの余韻の違いで判断しましたら、たまたま正解しましてビックリ。嗅覚を一時失っていた私が正解したなんて~!感無量です(泣)
香りがしないと味もわからない、季節の花の香りもわからない、かなり侘しい日々でした。でも見た目どこも悪くないので、良くなるまでは近しい人にしか打ち明けていませんでした。薄紙をはがすように徐々に治ってきていたのですが、今回「もうすっかり良くなったんだよ」と、こちらの観音様が教えて下さったんだなぁと思いました。
下の画像はその記録紙です。どうも記録の書き方なるものもあるみたいです。
最後にお菓子と薄茶を頂戴しました。
たぶんこの日のために特別に選ばれたお菓子だと思います。いただくのが勿体ないくらい綺麗でした。
香りを聞くときは風が入らぬように閉められていた障子が、お茶の時間になると一斉に開け放たれます。すると見える景色は一変!緑したたるお庭が現れます。その鮮烈な色、解放感。庭がまるで絵のごとく眺められ・・・至福の時間です。
庭ってこんな風にも使われるんだ。この感動を体験させてもらったことだけでも、来てよかった、そう思えたのでした。
香道の良いところとは、香りを通して、日本文化の知識や嗜みが覚えられること、と先生がおっしゃられていました。先の歌も、ただ覚えるよりは、組香という遊びを通じて覚えた方が覚えやすいのだと。
今回の歌は清少納言のおじい様ということで、清少納言のこと、平安時代の風習や常識、月にまつわることそれが現代でどうなのか、先生の体験なども交え広く語っていただいて、聞いていて本当に楽しかったです。先生の知識の抱負さ、語り口調など、ただただ感服するばかり。
それに加え、着物に憧れる私にとっては、着られる貴重な機会。とても魅力的ですが、次があっても間違いなく洋服だな。友人も「まず長時間の正座がムリやわ」と。確かに!激しく同意です。
ほとんどの時間、足を崩していたのに、立つとき相当ヤバかった。和服を嗜むまでの道は遠い。