一年ぶりに香道の会に参加してまいりました。
この会は、ディアガーデンのある近江八幡市内にある「教林坊」さんで、毎年2回(春と秋)催されているもの。
近年紅葉の名所としてメディアに多く取り上げられ、拝観期間には多くの観光客で賑わっているお寺です。でもこの日はまだ非公開中だったので、虫の声や風の音はもちろん、水琴窟の音まで聞こえるくらい静かでした。
参加は3回目なので、なんとなく勝手が分かってきて、緊張感なく楽しめるようになりました。
いつも最初に香木を見せて下さり、全員が実際に手に取って鑑賞します。沈香というもので、普通の木は水に浮きますが、重く沈むためそう呼ばれるそうです。しっとりとした質感で微かに香ります。
次に沈香の中でも最高級品とされる「伽羅」を焚いてくださいます。こちらは大変高貴な香りで全身が清められるよう。
伽羅の中では、東大寺の正倉院に保管されている「蘭奢待(らんじゃたい)」が一番有名で、足利義政や織田信長、明治天皇が切り取った跡にはそれとわかる印が付けられていると先生がお話してくださいました。そういえばちょうど正倉院展の時期です。今年は天皇の即位記念で東京でも特別に催されるとか。
このように香道では単に香りを楽しむだけでなく、日本文化や歴史、和歌などを一緒に学べるところがいいです。
私はうる覚えの天才。そしてしょっちゅうド忘れもします。勉強となるとなかなか頭に入りませんが、香道の席で聞くと何となく残るかもしれないな。
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香りを聞き分けるお遊び「組香」では、季節に合わせた和歌がひとつ選ばれ、それに沿って進められます。
今回は、古今和歌集より在原業平の「ちはやふる 神代も聞かず竜田川 韓紅に水くくるとは」という歌。百人一首にも選ばれた歌でご存知の方も多いと思います。
この歌のひとつの解釈として、伊勢物語から読み解くと、実はとんでもなくスキャンダラスな内容だったという面白いお話が聞けました。
私は小学生の時に百人一首を丸暗記しましたが、その頃はどれも風景を歌ったものと解釈していました。奥に潜む大人の恋愛模様まではまさか理解できるはずもありません。何にも分からずに大きな声で暗唱していた自分が可愛く思えてきます。
肝心の組香は当てられずこれで2連敗。1回目の素直な気持ちに比べて、当てたい!という欲が混じるようになってイケマセンね〜(^_^;
会はお抹茶とお菓子で和やかに締めくくられました。
会が終わってお庭をひとまわり。
繖山の麓にあるこのお寺は山の傾斜をそのまま生かしたお庭です。古墳も多く作られた山なので、それに関連がありそうな巨石がそのまま景石として使われている素朴かつ大胆な造形が特徴的。沢も流れていて湿気があり苔が上手く育っていて、紅葉するとコントラストがとても綺麗です。
訪れるたび整っていくように感じます。なんだかプロの手が入りだしたような?人気のお陰で庭の管理費用が賄えるようになったのかもしれません。いいことですねぇ。
お昼で解散となり、一緒に行った友人とそのままランチへ。そのあとウチでデザートタイム。
久しぶりに会えて嬉しくて、つい話し込んでしまいます。
香道を習ってはみたいけど、毎月は難しいので、年2回くらいが今の自分にはちょうどいいかも。近くにこのような場所があってラッキーです。