久しぶりに行動制限のない夏、とは言え、かなり自分を制しつつ、日光へ行って参りました。
「観光目線ではない」建物探訪記を3回に分けて綴ります。
(前回はコチラ→日光建物探訪①-那珂川町馬頭広重美術館)
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宇都宮駅までは新幹線、そこからレンタカーであちこち巡りました。
その道すがら、頻繁に大谷石(おおやいし)の蔵を見かけたのです。産地とは知っていましたが、このように使われていることは初めて知りました。
母屋の離れに1棟たっているのが基本パターン。中には2棟建っていたり、かなり大きな蔵もあります。蔵の装飾や瓦の色もそれぞれで、次々現れる蔵を見ているだけでも、すごく楽しかったです。
よくよく見ていると、蔵だけでなく、敷地を囲う塀であったり、農業用ポンプ小屋、消防器具庫までもが大谷石だったりします。
レンタカーの助手席で、「あ、あの蔵カワイー」とか「あれ、凄く立派やわ〜!」とか叫びながら大コーフン状態の私。
ゆっくり見たいけれど、ドライバーの夫がなかなか止まってくれないので、撮影もままなりません。
中でも小マシに撮れたものをUPします。
大谷石は火山灰や軽石岩片が固結して生まれた「軽石凝灰岩」で、栃木県宇都宮市北西部の大谷町付近一帯で採掘される石材です。
軽量で、調湿性に優れ、防火性も高い。おまけに柔らかいので加工が容易なことから建築資材として多用されています。
私は使ったことはありませんが、大谷石は好きな石です。素朴かつ柔らかな風合いにとても惹かれます。
大谷石の蔵は、明治・大正時代に建てはじめられ昭和初期に広まったようです。
建物の構造の一部である扉や窓も大谷石で、様々な彫刻が施されていました。
しかも必ず家紋や屋号などの印が付いています。
蔵とは分かりますが、洋館風でもあり、すごくお洒落な建物という印象を持ちました。
しかし、中には崩れかけた蔵や、空き家らしく荒れ放題の蔵も沢山あり、維持管理は大変だろうなと思いました。
市内にはこのような大谷石の蔵を改装したレストラン(ここ素敵!→「石の蔵」)やカフェがあります。
帰宅後に知ったことですが、宇都宮市では「大谷石蔵活用事業」で空き石蔵物件と借り手のマッチングなど色々な取り組みをされているそう。
この美しい蔵がこれから先も遺っていきますように、期待してやみません。
行く先々で大谷石が目に付いて、「いいなぁ~」「素敵だなぁ~」「蔵、買って~」って連発していた私です。
大谷石のことをもっと知りたい方は、大谷資料館がおすすめです。私は時間の都合で行けませんでしたが、夏はヒンヤリしてて人気スポットらしいです。
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さて、折角なので、観光についてもサラッと。
メインは日光東照宮で、その付近の寺院仏閣もいくつか巡りました。(中には秘境みたいな神社も)
東照宮は修理を終えて間もないこともあり、とにかくあちこち金ピカで、「ほー」とか「はー」とか溜息ばかり。龍や妖獣の手の込んだ細工は、いくら見てもキリがない程です。
境内の石垣という石垣が苔むしていて、灯籠も素晴らしく、そちらも見所満載でした。
個人的に嬉しかったのは、御本社で、久しぶりに幣でお祓いをしていただいたこと、かな。お隣の輪王寺ではタイミングよく秘仏も拝ませていただきました。
それから華厳の滝。
ここに辿りつくまでイロハ坂というヘアピンカーブがいくつも重なる峠をドライブするのですが、スリル満点です。
華厳の滝は飛沫がすごいせいか、虹が出ていてとても綺麗でした。色々な角度で眺められるのが有難かったです。
小さな滝や川もたくさんあって、それぞれに美しかった。
雨が多く常に湿っているので、様々な山野草が生き生きと育ち、目の喜ばせてくれました。
次回は日光建築探訪のラスト。ホテル編です。