ついこの間まで桜が咲いていたと思ったら、もう新緑の時期となりました。
「新緑が眩しい季節」なんて形容しますが、冬に比べぐんと光の量が増え、目が慣れていないため、少しの照り返しでも眩しく感じるのだと思っていたら、葉っぱは自ら輝いて(日光を反射しているだけではなく,自ら光を放って)いるのだという。
いま、ディアガーデンの庭(ディスプレイガーデン)もまさに新緑につつまれています。
晴れた日はもう眩しくて眩しくて!
例年4月のディスプレイガーデンは、控えめに白い花(シロヤマブキ、ドウダンツツジ、アマドコロ、ティアレラなど)が咲いています。
5月になるとエゴノキの花が咲いて白のピークを迎えます。
新緑に白は春らしい清らかな配色。でも白色は緑の中に溶け込んでしまい、近くで見ないと分かりません。
そんなディスプレイガーデンに今、なんと赤い花が出現しました!
ヤマツツジです。
実はこのヤマツツジは売り物。
仕入れてから納品するまで、花壇の空きスペースで養生(仮植)しているだけなのです。
空いているところは数少ないので、本当にとりあえず、という感じで植えたのですが、若葉の中で物凄く映えちゃって、思いがけず素敵な眺めになっていました。
何でこんなに映えているのでしょう???
花の色が緑の補色「赤」だから、だと思います。
色相環ってご存知じでしょうか。赤・橙・黄・緑・青・藍・青紫・紫・赤紫など虹色をベースにした色の変化をつなげてひとつの輪にしたものを言い、カラーコーディネートする際によく使うツールです。
色相環で向かい合う色を補色の関係といい、色相差が最も大きいので、お互いの色を目立たせる効果があります。赤-緑,青-橙色などの補色配色は非常に目立ちます。だからヤマツツジの花色が際立って見えたのですね。
そういうことも頭では一応分かっており、それでヤマツツジをお客様にお勧めしたのですが、実際に自分の庭に植えてみてどう感じるかまでは想像出来ていませんでした。これまで他所のお庭や山でこの配色を見ていてもここまでの感動はありません。
何事もやってみなければ本当のところは分からないものです。
ヤマツツジの花色は、赤は赤でも朱色っぽい。神社の鳥居や朱肉のあの赤に近く、とても日本的な赤だと感じました。枝姿も大らかで好みです。
春のいっとき、このような眺めもいいものだなぁ。
日当たりの悪いディスプレイガーデンではこんなに咲くことはないでしょうが、今後、もしかすると、ディスプレイガーデンにヤマツツジが数株植わるかもしれません。
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今の時期、赤系の植物で素敵なのが、もう1種類植わっています。
ヒューケラです。
ヒューケラはまだ花が咲いていませんが、遠目からみると花が咲いたように華やか。これも補色の効果です。
ディスプレイガーデンは、元々、草姿や樹形を優先にコーディネートしているので花いっぱいお花の庭、という雰囲気は目指していません。
日常において、お花だらけの眺めは案外疲れるもの。綺麗に保つのも大変だし、そもそもここは殆どの場所が半陰もしくは陰だから咲きにくくもあります。しかも花の庭は観る人を選びます。ですので、ディスプレイガーデンは元々花の要素は少ないのです。
それでも、初夏を迎えるとピンクの花(シラン、シモツケ、アスチルベ、バラなど)が次々咲き、梅雨以降はブルー系の花が咲いてきます。
花ばっかりにしたくないと言いつつも、咲けばやっぱり嬉しいです。