ディアガーデンではお庭づくりや外構工事といった建物の外回りのお仕事だけでなく、植物に関するご要望に広くお応えすべく、インテリアプランツの納品や装花室礼といったお仕事も受け賜わります。
今日は京都市内のある店舗での装花室礼の仕事をご紹介します。
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①3月初旬【根洗い】
3月の初め、生花店の売り場ではチューリップの旬が終わろうとしています。
1月の終わりか2月の初め頃の極寒時期から見かけてはいたものの、その鮮やかな花色と実際の季節感が違い過ぎて活ける気にならず、時期を読んで自然な雰囲気のチューリップなら仕入れてみようと考えていました。
そうしているうち、和菓子屋さんに合いそうなチューリップに出会いました。
茎が短くて球根がついたままのチューリップです。
窓辺で結構咲いたようです。
②3月初旬【掛け花】
店内の壁に掛けた花器にはまだ蕾のシデコブシの枝を。
産毛が生えた皮を纏ってすべすべしています。枝先がほんのすこしほころびかけていて春らしい。
以前住んでいた家の近所で、玄関先にシデコブシが植えられたお宅がありました。
飾り気のないお庭で、その木は自由に枝を広げ、きれいな楕円の樹形になっていました。春になると白い枝先に、薄桃色の花がいっぱいに咲き、それはそれは見事でした。波打った花びらが優美にひらひらと揺れて、当時飼っていた犬と一緒に、飽きずに見上げたものです。
私の中ではシデコブシというとあのお宅の木。
懐かしく思い出します。
③3月下旬【投げ入れ】
この日は面白い茎姿の丹頂アリウムを仕入れました。
花壇で育てるアリウムはネギ坊主の部分が大きくて茎も真っ直ぐです。きっと花の生産者さんが工夫して、こんなにクネクネのアリウムを作って下さったんだな。
花に香りはありませんが、茎を切るとネギっぽい香りがします。
お店の方に「意外にモダンな雰囲気で和に合うね~」と言っていただきました。
④3月下旬【掛け花】
大抵の植物は知っているつもりですが(名前は大抵パッと出てきませんが)、もちろん知らない植物に出会うこともあります。
「このヤマブキっぽい木は何ですか?」
葉っぱの雰囲気からしてヤマブキっぽいなぁと思うけれど違うような???
すると生花店の方が「ヤマシラズという木です」と教えてくださいました。初めて聞く名前です。ネットで調べても出てこないので、ひょっとしたら聞き間違いかもしれません。
でも葉のちょっと白っぽい黄緑色がきれいだったので、分からないまま仕入れて、お店の方にもそのまま「ヤマシラズという木だそうです」なんて伝えて生けちゃいました。
「知らず」と名前についた木に、名前に「忘れ」とつく花を添えたのは、たまたまです。
二つの植物の色合いが合うと思って感覚的に合わせただけで、あとで名前を並べてみて面白いと気づきました。
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仕事上がりに駅へと向かう道すがら、仁々木さんから程近い白川通りを歩きました。
ちょうど桜の花が5分咲きの頃。ちょっとしたお花見気分を味わえました。
京都の街中は人出が戻り始めていて、時期的に卒業旅行なのか?春休みなのか?若い方で溢れていましたけど、この通りは大きな通りから少し外れているからか、まだ疎らでした。
でも本来ならば、祇園の中でもとくに絵になる場所として、桜の時期は特に、世界各国からの観光客も多く混みあっていますのに。
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明日から4月ですね。
和名の卯月は、旧暦の4月に咲く卯の花から来ているそう。卯とはウツギです。
日本全国の山野に見られるユキノシタ科の落葉低木で、5月から6月にかけて咲く花は、派手さはないものの清楚な佇まいで、和の雰囲気にぴったり。ということで、私も盆栽に仕立てて仁々木さんに納品しました。
新暦と旧暦とはひと月ほどのズレがありますが、生花市場の植物は本来の時期よりふた月以上ズレがあります。だいぶ早いのです。ですので、季を先取りして3月に飾ることが出来ます。
和食の世界では、季節を楽しむ食材の取り入れ方として「走り・盛り(旬)・名残り」と「出会いもの」がありますよね。和のお店の装花としては、それに準することも心得ておくべき点のひとつだと思っています。
大抵「走り」の方が多いけれど、時に庭で咲いているその季最後の枝を折って「名残り」として飾ることもあります。走りで仕入れて、事務所で咲かせ「盛り」に再度持って行って飾ることもあります。
こんな風にかなり自由にお仕事をさせてもらえ、私としても楽しんでやっております。
さぁ、卯月はどんな花生けをしましょうか。
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