若冲に会ってきました。生誕300年を記念した展覧会が細見美術館で開催中です。
今年春に東京で開かれた展覧会では、TVでも取り上げられ、派手に盛り上がっていたようですが、ふるさと京都では静かです。内容も違っていて主に水墨画メイン。同じだと思って行かれる方がいらっしゃるようで、入口に違うとわざわざ書かれてありました。私は若冲なら何でも。見せてもらえるなら有難いと思います。
一枚の絵に繊細さと大胆さが同居しているところに惹かれます。構図の妙というか、間の取り方にも、すごく惹かれる。難しいことはわからないけれど、迫力と慈愛に満ちた素晴らしい絵が間近で見れて幸せ。琳派ファンにとっては、唯々幸せの一言につきます。
ひとつのことに、こんなにも情熱をもって取り組める人の心って、一体どうなっているのでしょうか。凡人には到底思いもつきません。あまりにも詳細に描かれているので、人に見せるというよりは神に見せるために描いていたのではないかと言われています。そうかもしれない。人間くさいところも多分にあった若冲が筆を持ったとき、一体どんな顔をして描いていたのでしょう?興味がつきません。
「千載具眼の徒を竢つ」(遅くとも千年後には、私の絵を理解してくれる人物が必ず現れるだろう。)という言葉を残したことは有名です。千年を待たずして実際そうなったことを、あの世できっと喜んでおられることでしょう。
美術館へはいつも人出を避けてウィークデーに行くので、比較的静かに見ることができます。でも時々「なにもここで話さなくても」というような話題を大きな声で喋っている方がいてびっくりしてしまいます。大抵は女性グループで、初めは小さな声で話しているけれど、テンションが上がるにつれ声も大きくなってきます。私も群れるときは気を付けないと、心底思います。
マナーを心得ていて、しぐさや立ち居振る舞いが優雅な人は、場の雰囲気もよくされます。服装もTPOに合っててしっくりと馴染んでおられるし、とても落ち着いて過ごしておられる。こんな人に出会うと「なんて素敵なんだろう」と目が釘付けになります。
そういう人が傍にいるだけで、私も心地いい。「美しい空間や雰囲気を作る力」を持っておられる人だと思います。周りを不快にさせない術を知っていて、きっと自分自身を俯瞰で見られる人。そういう人に憧れますし、少しでも近づけるようにと思います。