アンティークの飾り棚

今年の夏、事務所用にアンティークの飾り棚を手に入れました。

アンティークの小さな家具が欲しくて、ここ1~2年ほど色々なサイトをチェックしていたのです。

ネットショップで公開されていた画像。雰囲気を壊さないようきれいに補修されているように見えました。w662mm×d662mm×h1140mm

棚を支える4本の柱がとても華奢なので、全体的に繊細な雰囲気です。細部を見ると、接合部分が枘(ホゾ)で丁寧に継いであり指物のような緊張感が感じられる一方、シンプルなデザインからは日常の暮らしの中で使われていたであろう大らかさも感じられ、それも魅力的でした。

以前泊まったホテルの部屋に置いてあった素敵な飾り棚に雰囲気が似ていたことも決め手になりました。気に入った家具はいつまでも覚えているものですね。

東京水道橋にある庭のホテルの客室にあった飾り棚。好みだったので覚えていました。

寸法的には、ちょっと大きめだけど、部屋に置けなくもないし、払えそうなお値段です。即決に近い感じで購入しました。

届いてみると「ちょっと大きめ」ではなく「だいぶ大きめ」でした。寸法は十分把握しているつもりだったのに、実際のサイズ感は全然違うのですね。

しかも補修のやり方や使っている素材が、想像と違っていました。棚板は薄っぺらい合板が使われており、ちょっと押したら抜けそうで何とも頼りない。大きな家具なのにひょいと持てるほど軽いところも拍子抜けしました。所々接着剤がはみ出しているのが目立つし、色合わせの塗料も妙な匂いです。サイトの説明や画像に嘘はないのです。細かく見ようせず、尋ねもせずに雰囲気で判断してしまった私が悪いのです。

失敗した~と思いました。大きすぎて部屋に置けないけれど、返品するには手間がかかりそうです。一応使えますし、何よりデザインはとても気にっているので、捨てる気にもなりません。

途方にくれましたが、思い切ってもうひと手間かけるしかない。これも勉強と割り切り、自分の思うように補修してもらおうと近場で家具職人さんを探すことにしました。

ところが、こういうアンティーク家具はとてもデリケートで、補修はかなり難しいと、断られてしまうのです。またもや途方にくれました。

そんな中、引き受けて下さったのは、近江八幡市にあるカスタムメイド家具・リフォームの工房KUSの岡田様です。

購入の経緯から、出来るかどうか分からないような無謀な要望など、とても丁寧に話を聞いてくださって、その上で色々なご提案をしてくださいました。

私の希望は、高さは変えず450mm角にサイズダウンすることと、棚板を合板から無垢材に取替えるというもの。たくさんお話をしているうち、どのような仕事をされるのか、実直な人となりも知り、安心してお任せすることが出来ました。

補修が完了し、生まれ変わった飾り棚を見たとき、想像以上の出来に大感動。買ったことを後悔していたのに、買って良かったと思うほど、大、大、大満足の仕上がりでした。

サイズダウンして素敵に生まれ変わった飾り棚。置き場所を選ばず飾りやすい家具になって嬉しいです。これぞ求めていたもの!

元々このような棚だったのではないかと思うほど自然なリメイクです。素材も無垢材で統一されたので家具としての価値が上がったように思います。重さも倍以上になって重厚感があります。

どうやったのか分かりませんが、枘の部分を全部バラシて長さを縮め組み直していただいたようです。裏側も以前の補修方法とは全く違って、機能的かつスッキリと納めてくださっています。凄いです。

元の職人さんがいい仕事をされているとか、柱はいい素材ですよとか、私が知り得ない情報も教えて下さって、益々この家具が好きになりました。

試しにちょこっと飾ってみました。楽しいです。季節ごとに色々と変えて飾りたいな。
無垢のタモ材を使った棚板の木目が本当に美しい。節がない材を選んで使っていただいたみたい。

アンティークや骨董品には、長い年月を経て多くの人の手に渡り、使い継がれることで蓄積された美があります。

今回はかなりリメイクをしたので、アンティーク家具と呼んで良いのかは分かりませんが、使う者に添った品になることで、家具の寿命が伸びたのは確かです。

私が敬愛する「用の美」の美しさは、単に物の在り方の美しさを指す「機能美」とは違い、人が物を用いることで生まれる美しさも含まれます。「用の美」は日常で長く使われることが大切な要素ですから「頑丈」でなくてはなりません。

そういう意味で、この家具は「用の美」に叶う品に生まれ変わったのではないかと思います。

この飾り棚を用いることを楽しみつつ、美を育てたい。大切に使います。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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