感性補充&骨休めに、建物探訪と大好きな伊豆の湯、湘南観光など楽しんで参りました。300枚近く撮りまくった画像の中から、数回に分けて建物&庭関係中心にピックアップしてご紹介したいと思います。美しい空間をご一緒に。
まずは熱海にあるドイツ人建築家ブルーノ・タウト設計の「旧日向別邸」へ。
日本に現存する唯一のタウト作品と言われており重要文化財です。母屋にも興味津々なのですが公開されておらず、タウト設計の地下室のみ見させていただけます。熱海市にある重文といえば「起雲閣」の方が豪勢で見所も多そうですが、こちらの方が駅から近いし興味があったので。
見学は熱海市文化施設室への予約が必要です。職員の方の丁寧な解説付きで案内していただけます。タウトの人生、建築の裏話など、興味深い話が聞けて予定の1時間はあっという間でした。(※内部は撮影禁止でした)
簡素な日本建築への憧れが強く感じられますが、でも和風ではない。連なった3室それぞれ天井高、デザイン、趣が違って本当に面白い設計です。手作り感満載の照明があるかと思えば、腰板のディティールはとっても繊細だったり、緩さと緻密さのバランスが、なんというか、不思議でした。
見学の最中はずっと鳥のさえずりがBGMのように聞こえていました。それがやたらと声が大きくて、聞いたこともない音色なのです。如何にも気持ちよさげに鳴いていてました。思わず「なんという鳥?」と呟くと、見学者の中のある方が「画眉鳥(ガビチョウ)という中国の鳥ですよ。」と教えてくださいました。このあたりの方には馴染みの鳥なのでしょうか?なんでまた中国の鳥が?調べてみると、昔、中国からペットとして輸入したものが売れずに残り、放鳥された結果、増えてしまったとのことです。
ドイツ、日本、中国、色々なものがここ熱海で混じり合っての景色を堪能しました。
続いて、好きな建築家・隈研吾さんの建物へ。旧日向別邸のすぐお隣にある「海峯楼」という高級温泉旅館。こちらも頼めば時間限定で見せて下さいます。
実はこの建物、ガーデンデザイナーになりたての頃買った洋書「the modern japanese garden」に掲載されていて、よく見ていました。でも所在地までは記載されておらず、かといって深く知ろうともせず。それが、今回旧日向別邸に行こうと調べていると、隣り合っていることに気づき、私としてはびっくり。隈さんはタウトの建物の隣りということも十分意識して設計されたのでしょうね。
このガラスのテラスはスイートに宿泊した方がお食事するスペース。まるで水の上にいるみたいに贅沢な空間。椅子もテーブルも限りなく細い枠組みで、景色の邪魔になりません。何度も言っちゃいますが、ホント天気に恵まれてね、青い青い世界に溜息がこぼれます。手持ちの本に書かれてあるのには、水とガラスで透明、半透明、反射をつくりだすことがテーマだったそうです。
異素材の組み合わせやデザインなどは本を見ていると大体わかりますが、スケール感は、実際現場で感じることでしか味わえないものです。設計するとき、特に重要な感覚のひとつで、こればっかりは経験して育てるしかないと思っています。
感性を刺激されまくりで、お腹がすいたので(笑)、ちょうどこの日は土用の丑の日だったこともあり、美味しいと噂の「うな正」さんで鰻重いただきました。鰻を食べても、夏バテ回復になるとは限らないそうですが、美味しくて滅多に食べられないものを食べられることだけで、気分的に元気になれるってもんですよね。
文句なしの鰻に舌鼓。よくぞ日本に生まれけり!と思う瞬間です。小さなお店ですが、お相撲さんのようにBIGな店主・久保田さんが、もくもくと焼いておられる姿が印象的でした。
次回は有形文化財の洋館に泊まった話。ここも素敵でしたよ。