大分夏旅-COMICO ART MUSEUM

大分県への旅行記つづきです。

私は美術館という場所がとにかく好きで、旅先でも興味が湧いた美術館には立ち寄るようにしています。限られた日程では企画展目当てのスケジュールは組めないため、ほとんどはその建築や佇まい、空気感を鑑賞するのが目的です。

今回は由布市湯布院町にある「COMICO ART MUSEUM」に行って参りました。

webコミック、漫画、小説などを提供する総合エンターテイメント・プラットフォーム「comico」を運営するNHNJAPANという会社が母体らしい。現代美術作品を展示されています。建築を手掛けたのは隈研吾氏です。私は隈さんの建築が好きで、過去にも色々と尋ねているのです。

こちらは由布院駅商店街のはずれにあって、由布岳を背景に建つこじんまりとした美術館で2017年に出来たばかり。隈さんらしい和モダンでシンプルな外観は集落の風景に溶け込むように配慮されたデザインとのことですが、素朴な地元の建物に反して、とにかくお洒落なので、遠目からもかなり目立ってました。

美術館全景。漆黒の焼杉壁が印象的な建築が隈研吾さんらしくて震える。ロゴは原研哉氏。ここのサインに限ってはバランスはちょっと微妙かな。
普通は平面的に貼る焼杉板を、縦格子のように貼っているのがカッコいい!板の厚みや重ね方にもデザインを感じます。

隈さんの建築の特徴といえば、素材感を大事にされていること。焼杉の壁は、遠くで見るのと近くで見るのとではかなり印象が違います。連れがソワソワしているので、建物の隅々までは鑑賞できなかったけれど、一部壁が尖ったところがあって、自然の取り込み方が工夫されているようでした。

あぁ、きっと、夜の照明の使い方も素敵なんでしょうね。

東京青山にある根津美術館のアプローチを彷彿させます。もちろん根津美術館も隈さん作品。
開けられた窓外の景色も作りこまれていて素敵。
一棟貸しの宿泊施設も敷地内にオープン。画像は竹をテーマにデザインされた建物。庭も和モダンで素敵です。

展示は国内の現代美術アーティストの有名どころをギュギュっとまとめた感じ。草間彌生、杉本博司、村上隆、奈良美智、名和晃平・・・誰もが知っているアーティストの、一度は見たことがある作品群がメイン。数が少ないので、じっくりと対話するように観覧するのが良いのかもしれません。

展示室は作品によって雰囲気が違ってますが、共通していたのは天井が低めだということ。建築全体がこじんまりとしているせいもあると思いますが、作品に集中出来るような雰囲気でした。一方、オブジェ系の作品は屋外に展示されていて、その対比も面白いなと感じました。植物の手入れや掃除もスッキリとされていて気持ちの良い空間でした。こういうところのお庭は掃除が出来ていないと台無しなので。

観覧人数がまだ制限されていて、まずはサイトから観覧日を予約するシステムです。そのおかげで、中国と韓国からの観光客で大混雑した商店街に反して人は少なめ。とても静かでホッとしました。

音声ガイドが無料なのも嬉しくて、スマホでアクセスし自分のイヤホンで聴きます。(私の時は何故か何度も途切れて残念ながら使い物になりませんでした)

杉本博司氏の展示室。壁には代表作の海景シリーズから5点。光学硝子五輪塔のオブジェがきれいでした。
ラウンジ/ライブラリーから見える奈良美智氏の「Your Dog」。切り妻の屋根の形そのままガラスをはめ込んだ広がりのある部屋。庭の見せ方も良いですね。
植物の中で穏やかな表情のYourDog。足の間を大人がゆうゆうと潜れるほど大きいです。栃木に行ったときは見られなかったので、今年会えて嬉しい。樹々はまだ成長途中のようですが修景が良いです。この奥にあと2つオブジェが展示されています。

入館料は1,700円とちょっとお高め(オンライン予約は200円割引)。なのに、ちゃんとしたミュージアムカフェもミュージアムショップもなくて、とりあえず「スター選手を集めて初めてみました」という印象が否めない美術館。

空間はとても素晴らしいので、将来的に独自の視点で現代アートの企画展を催してくれるような美術館になることを期待します。

次回のブログはお宿とお土産編です。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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