忘れていませんか?庭を眺めること

秋になってようやく庭で過ごせる時間が復活しました。永遠に続くかと思われた夏の間、水やりや虫取りを頑張った自分に、ご褒美のような時間です。ガーデナーの皆様も、この週末はどうか手を休めて、じっくり庭を眺めながら、ご自分を褒めてあげてください。

チェコ作家のカレル・チェペック著「園芸家12ヶ月」の中に、有名な一文があります。

そして庭が雪の下にしずんでしまったいまごろになって、急に園芸家は思い出す。

たった一つ、忘れたことがあったのを

―それは、庭をながめることだ。

このエッセイは園芸家あるあるが詰まっています。庭を愛する方なら、きっと一度は手にされたことがあるのではないでしょうか。

庭づくりは失敗の連続でも、手をかけただけ応えてくれます。日々の小さな成果に励まされつつ、しかし季節はどんどん流れていくのですね。次やることに急かされ、振り返るとゆっくり眺めている間もなかったという。チャペック先生が、ユーモアたっぷりに皮肉って落としてくれたこのオチに、膝を叩きながら、誰もが「今年こそは庭を愛で、そこで過ごす時間も作ろう!」と思ったはず(笑)

それにしても、今年も厳しい夏でした。ここ関西は、雨がほとんど降らず、猛暑続きでね・・・。自分の心身も、庭も、乗り越えられた安堵に、少し浸ってもいいかなと思っています。

渇いた風が心地よいガーデンテラスでティブレイク。今日はホットミルクティです。そろそろあったかい飲み物でもいい感じ。スイーツの代わりに栗のハチミツを少し垂らしていただきます。

それで涼しくなったある日。いつもは飾らないガーデンテーブルにお花を飾って、ゆっくりお茶でもしてみようかなんて。秋色アジサイ、とっておきのハチミツと気楽に読める本。好きなものを揃えて、ちょっとした時間をもつ。

お茶しながら、パラパラとめくる本。この時読んでいたのは「私の好きなもの暮らしのヒント101」。色々な分野で活躍中の方々が、それぞれとっておきだと思うモノやコトを紹介したコラム集です。

庭を育ててる人は、庭を愛でている時も、雑草やちょっとしたほころびに目がいってしまいます。お茶飲んでいたのに、気づけばまた爪の間に土が入っていて笑っちゃう。ただ眺めることが出来ない、意に反して手が動いてしまいます。

かのチャペック先生、最期も彼らしいというか、なんというか。嵐で荒れた庭の手入れをしたことが原因で風邪をひき、一時回復するもののクリスマスの日、肺炎により亡くなったのだそうです。

荒れた庭を目の前にしたら、園芸家としては、手を出さずにはいられなかったのでしょうね。

わかるような?

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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