庭師の役割

庭は動くもの、というと不思議に聞こえるでしょうか。

庭は、植物の成長や季節の移ろいによって、絶えず表情を変えるものだからです。

人智を超えた植物の変化に寄り添い、動き続ける景色をととのえていくことが庭師の役割である― フランスの造園家であり作家のジル・クレマン氏の言葉です。

植物は生き物ですから、この場合のととのえるとは「整える」ではなく「調える」の方だと私は解したい。揃えるとか並べるとかきっちりさせたいのではなく、合わせまとめる。調和させていくというような意味合いと捉えたいのです。

できるだけあわせて、なるべく逆らわない― クレマン氏も自身の庭師としての基本的な姿勢をそのように語っておられます。

具体的には「場に相応しい植物を選ぶ」「無闇に成長を阻害しない」「傷口が早く治るような剪定をする」そんな心持ちで手入れをしたいと考えます。


ディアガーデンの庭は、今年で17回目の春を迎えます。

動き続ける景色を楽しみつつも、実験的な庭として、常に手を入れ続けてまいりました。

最近では、冬の終わりにパートナーの庭師さんに剪定に入ってもらったばかりです。作業は3箇所ある生垣の剪定がメインで、あとは高木3本、中低木1本をサラッと。

ここのところ、高木の成長が、だいぶ落ち着いてきたように思います。南向きではないので、元々、成長は緩やかではありますが、枝振りを丁寧に調整したことによって、樹勢(木が成長しようとするエネルギー)がうまく分散されているようです。

今回の剪定でも、切る枝はほんの僅かでした。適正な葉の量になるよう枝ぶりには気をつけています。

住宅の庭ですので、建物に接してしまう枝であったり、動線上不具合な枝、敷地境界線を大幅に超えてしまう場合は、通常剪定の対象となります。

クレイマン氏なら動線を変えるとおしゃるでしょう。私だって本当は切りたくはないのだけれど、変えられないものはどうしようもない。

こういう場合、ズバッと切り落とすようにではなく、次に成長する芽(小芽)を残しつつ切ってきました。

枝ごと全部落としてしまうと、その後、木はエネルギー不足とならないように、切り口からたくさん、あるいは幹から直接、というように、出せるところから芽を噴き出させます。光合成するべく、出来るだけ多く葉を用意するのですね。

これでは庭木として美しくないと思い、取ってしまうのですが、木は困り、いよいよ芽を多く出さねばなりません。もしかするとそのうち衰弱していくかもしれません。悪循環です。そうならないように調えたいのです。


さて、春です。

これから迎える芽吹きというダイナミックな変化をワクワクした気持ちで待っています。また新たな気持ちで庭づくりに励もうと思います。

今年の夏もきっと厳しいものになるのでしょうけど、私達も植物も幸せになれるように、適応できる植物を見極めていきましょう。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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