植栽工事の現場から

2019年最初の施工は、久しぶりに職人さん抜きの独り仕事。軽バンに材料をてんこ盛りに積んで、向かった先は京都の祇園、八坂神社のすぐ近くで、路地をちょっと入ったところにある菓子店さんです。

祇園にあるのは本店で、今回店舗をリニューアルされました。設計は宮村太設計工房様です。建築家で工房を主宰されている宮村様にお声掛けいただき、店舗前の花壇の植え込みを仕上げる役目に預かりました。

仁々木さんの祇園本店。リニューアルされた玄関です。シンプル和モダンな雰囲気で清潔感があって、とても素敵。暖簾にある「むしやしない」とは、ちょっとした食事や甘味で小腹を満たすこと、だそうです。
建物の改装工事が終わっていよいよ植栽工事のスタートです。路地に面しているので、観光客や車も頻繁に通る中、出来るだけ迷惑にならないように作業をすすめました。

作業は宮村様の監督の元すすめてまいります。でも周りから見ると、監督と職人じゃなく、職人2人に見えていたと思います(^^; 植え込み作業はもちろん、重い物を運んで下さったり・・・一緒に汗を流してくださいました。冬だけど、着込んでいるせいか?動いていると本当に暑くなってくるの。

こうやって、一緒にやりながらワイワイ作る現場は、適度な緊張感もあって本当に楽しいです。工夫や、そこもうちょっとこだわりたいって意見も素直に出て、どんどん良くなっていきますし、作り手の前向きな気持ちは、植物にも伝わりますから、和やかな雰囲気は本当に大事だと思っています。

そういう雰囲気を作って下さって感謝です。

植え込みの枠はモダンなスチール製。奥行のない花壇なのでこの素材を選ばれたとか。なるほど!です。中には水道メーターなどのBOXが2つもあります。これを上手く隠しつつ緑あふれるスペースにします。

植栽デザインは、ほとんど建築家さんのご意向をそのままカタチにしたもので、私は素材調達や、植え込みの際にディティールとかバランスを整える役目に徹しました。小さな花壇なので仕事は早い。4時間程で完成です。

自分が職人になると、作業中の写真がタイミングよく撮れません・・・。

なのでいきなり完成写真、ドン!

植え込み完了。なぐり仕上げの壁に緑がはんなり寄り添います。

Before&Afterを見比べていただくと嬉しいです。

緑が入ると雰囲気がだいぶ変わると思いませんか?建物が柔らかく見えるし、動きが出るので生き生きとします。元の土だけだった時と比べると、植物を植えた方が広く見えるような気もするから不思議です。

小さなスペースでもこんなに表情豊かになるんですね。

高木:ハイノキ、低木:シャリンバイ・コバノズイナ、下草:ヤブコウジ・クリスマスローズ・セキショウ・ツワブキ・スナゴケ。

常緑の植物の間を苔で埋めたので、年中青々と清々しい花壇です。季節が巡ると小さな花も咲きますし、雨の日は石や苔が生き生きとするでしょう。

水道メーターには竹の蓋を被せ、飛ばないように関守石を重石として載せています。水繋がりで井戸蓋に見立てた、って建築家さんがおっしゃっていましたが、一見飾りにしか見えないので、この下にまさか水道メーターが隠れているとは思いませんよね~。簡単に外せて検針の際にもスムーズです。

この竹の蓋と石は、前もって、ここに合う大きさでこしらえておきました。(以前のブログで解説しています。竹の蓋について→コチラ関守石について→コチラ)現場に置いてみると、本当にピッタリだったので、ほっとしました~(^^*

小さな景石も据えて。庵治石と赤いのが富士溶岩石です。クリスマスローズの花が赤だし、いろんな植物にちょっとづつ赤が入っているので合うと思う。ほんと、ちっちゃい石だけど。
ショウウィンドウの枠と花壇枠が同じ素材で作られています。かっこいいです。錆びることも味となるそうで経年変化が楽しみです。ハイノキは大胆に枝を抜いてすっきりさせました。こうして建物の意匠に少し緑が絡むことで一体感が増すように思います。

木を多用された上品な外観。栗なぐりの壁は、日差しの加減で微妙に影を変えるので、とても味わい深く見ていて飽きません。そんな美しい背景に、植物や石、鉄といった素材が主張しすぎることもなく、あくまで自然な感じで寄り添っている感じがねー、何とも絶妙で素晴らしい!

って、半分自画自賛ですけれど。本当にそう思います。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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