新年のご挨拶-2025

事務所に鶴の水引き添えた掛蓬莱。

年初めのブログは、ディアガーデンのお正月の室礼をご覧いただきながら、新しい年に思いを馳せてみたいと思います。

お室礼はここ数年、花ではなく、松や南天などの枝物や縁起物を寄せた盛り物を飾ることが増えました。

この度は日陰蔓(ヒカゲノカズラ)が手に入ったので、掛蓬莱を作ってみました。

日陰蔓はシダ植物で、雪の下でも青々とした緑色を保つことから「長寿」を意味し、古代から祭事に使われてきました。また、枯れても緑を失わないことから「永遠の生命」の象徴とも。ですので、掛蓬莱は長いほど良いとされます。

事務所のカウンターに掛蓬莱と神楽鈴。神楽鈴の音は邪気払いになり、その音色そのものが神様に対するお供え物の意味を持っているそう。

昨年は能登半島地震から始まり、夏には宮崎でも地震。そして台風や大雨で再び能登半島に災害が発生し、なんとも不安な一年でした。自然災害大国日本においては、ただの一年でさえも安心することはできません。それはどこに住もうともです。災害に対する備えと被災地への支援を忘れないようにしたいと思います。

ウクライナや中東情勢も未なお不穏で、国内では円安による弊害が続き物価も上がり続けています。それでも日々、各々が責務を果たし、小さな楽しみを見つけながら暮らしてきたことと思います。

昨年のディアガーデンは、有難いことにお客様に恵まれ、忙しく仕事をさせていただきました。至らぬ私を支えてくださる周りの方々のお力のお陰で、庭を完成させることが出来ました。なんとか身体と心を病むことなく働けたことにも感謝します。

ディアガーデンは今年22年目に突入します。また、気持ちを新たに腹を括り直して2025年を始めたいと思います。お役に立てるよう引き続き精進いたします。

玄関に仏手柑橘と松。縁起物を寄せた盛り物です。奥に見えるのは匂い袋付きの干支飾りです。ほのかにいい香りが漂うため、ほぼ年中飾っています。

最近は自分や家族のための時間も出来るだけ多く取るように心掛けています。ジムでの筋トレや書道のお稽古も続けられています。自分時間を大切にすることが精神安定剤になって、仕事に向かえているのかもしれません。

私はこの仕事が大好きだし、この先も出来る範囲でずっと働き続けていたい。だから定年は設けないつもりです。

そうは言っても無理はしたくないし、身体的に出来ないことが増えていくでしょう。年を重ねると、これは仕方がないことかと思います。20代や30代なら「出来るようになりたい」と努力していたけれど、今はもう「出来ないこともあるさ」と開き直るようになりました。

そんな今の私にとって、自分の得意なことや興味のあることを深掘りする方が、残された時間を有効に使えるのではないか。

自分が出来ないことは誰かが得意かもしれません。周りに頼ること、こだわりを捨てて場合によっては思い切って辞めてみることも、これからは必要なことと考えています。

2025年は自分を見つめ直し、新たな道へと第1歩を踏み出します。

リビングの飾り棚を床の間に見立てて、鏡餅代わりの十二支餅と藁細工の干支飾りを
十二本の藁を束ねた先にお餅をつけた十二支餅。三宝にのせ松葉添え、歳神様への御供物に。
今年はお正月に掛けるお軸を誂えました。華やかな扇面紙にお目出度い歌を散らし書き、吉祥紋を散りばめた表具とお目出度尽くしです。

話は変わって、上の画像の掛け軸について。

これは昨年12月開催の書道展に出展するために書いたものです。お稽古の先生が中心の小さなグループ展で、毎年ひとつ作品を仕上げるつもりで参加しています。

今回の作品のテーマはお正月。我が家にはお正月に掛けるものがなかったので、ちょうどいい機会でした。

歌は古今和歌集の最後の巻「大歌所御歌(おほうたどころのおほんうた)」の巻頭に収められたもの。

あたらしき 年の始めに かくしこそ
千年をかねて たのしきをつめ(へめ

新しい年の初め このように
千年もの先も 毎年楽しきことを 積み重ねよう(存分になしつくそう)

調べてみると、最後の句が「つめ」と「へめ」と2つのバージョンがあります。何度も書き写すことで、どちらが本当か分からなくなってしまったようです。古い和歌あるあるです。新年の歌なのか新嘗祭の歌なのかも解釈が分かれるところ。

それはさておき、私はこれから先もずっとこんな風に新年を寿ぎたいと思ってこの歌を選びました。

表具屋さんがお正月に因んでお目出度尽くしの茶掛けに仕立ててくださいました。一文字は松竹梅、中廻しは波千鳥の紋様の裂。波千鳥には荒波を共に超えていくつがいの鳥の姿から夫婦円満とか家内安全の意味合いがあります。

さて、お節もお雑煮もあと残りわずか。

3が日はゆっくり過ごしたので、そろそろ仕事始めに向けて心身を整えよう。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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