読書の秋に−おすすめ本

ようやく秋らしい空気感になってきました。晴れの日も割と続き、何をするにも良い気候。皆様も色んな秋をご堪能のことと存じます。

私はなんと言っても読書の秋、芸術の秋です。そこで2回にわたりおすすめの本、またアート情報をご紹介します。

まずは、最近読んで面白かった本を4冊ご紹介します。

1冊目にご紹介するのは「もっと美味しく作れたら」

著書樋口直哉氏は作家であり料理家。いま、私がめちゃくちゃハマっている料理家さんのひとりです。

レシピ本は他にも多数あり、どれもおすすめ。彼の本はレシピだけでなく、それに至った考察が書かれておりとても良いです。小理屈好きの私にはこの部分が堪りません。

例えば、食材ひとつにしても、今と昔では味や栄養価、流通方法などが違うから、扱い方が変わってくるはずなのに、実際レシピに書かれている下処理法は昔のままだったりします。そういうことをひとつひとつ気づかせてくれます。

出来上がったお料理はどれも身体にすっと溶け込むようなお味。今どきよくある「悪魔的なんちゃら」のように一口目からガツンとくるような厚かましさがありません。

彼の目指すお料理は食べ終わった後、いい映画を1本見終わったような余韻を残すこと、だそうです。

おすすめ2冊目は「茶室を感じる」

11の名茶室で行われた数寄屋大工棟梁中村義明氏と現代建築家前田圭介氏の対話集です。

もてなしを極めた空間が茶室。その究極の空間で語られるスペシャリストによる解説は唸ることばかりでした。

茶庭は造園に携わる者にとって、学ぶことが沢山あります。飛び石のリズムを敢えて崩すことで生まれる緊張感、植栽を絡めた幻想的な光の演出、材の組み合わせの妙、昔の建築家や職人のセンスたるや!少しでも近づきたいと思いながら食い入るように読みました。

茶道に触れていない方もこれを読むと、茶室に座ってみたい!と思ってしまいそうな本です。

おすすめ3冊目は「自然の力で治す」

ドイツの現役医師アンドレアス・ミヒャールゼン著で、シュピーゲル・ベストセラーリストで14週連続1位になった最先端の自然療法を紹介した本です。

自然療法の目的は、患者自身の力で体を活性化させ、健康を取り戻すこと。現代医学と対立するものではなく互いに補いあう治療という観点から書かれています。

エビデンスがしっかりあり、註釈も細かく記されているので、自然療法の入門編に最適です。

内容は吸血ヒル、クナイプ式水治療法、断食、食事療法、運動、ヨガ、瞑想、アーユルヴェーダと多岐に渡ります。中でも以前から関心のある断食は、本格~お手軽まで紹介されていて、お手軽な方でも効果はあるそうなので試してみたいと思いました。

繁田 香織氏の訳が素晴らしいのか、専門書なのに割と読みやすかったです。

最後に、これは確か今年の初めに読んだ本だったかな。「動物たちが教えてくれた「良い生き物」になる方法」

著者は米国ニューハンプシャー州在住のナチュラリストで作家のサイ・モンゴメリー氏。世界各地を周って様々な動物たちと触れ合い、その経験を本にされています。

人間は、というか私は、どうしてこうも生きることを複雑化してしまうのでしょう。動物たちの素直な生き方に感動します。中でもご自身が飼っていおられた豚のクリストファーのお話がとてもとても好きです。

少し引用します。

いったいクリストファーの何が、人々をそれ程魅了したのだろう?後日、リラ(サラの隣人)はこう表現した。「クリストファーは偉大なる仏教の『師』だったわ。彼は愛することを教えてくれた。生が与えたすべてを愛することを。たとえ、それが残飯だろうと。」
それはまさに真実だ。クリストファーは残飯を愛した。ピッグ・スパの石鹸入りのお湯を愛し、子供たちの小さな手で耳の後ろを撫でられるのを愛した。仲間を愛した。それが誰であれ ―子供も大人も、病めるものも健やかなるものも、物怖じしないものも恥ずかしがり屋も、スイカの皮やチョコレートドーナツを差し出す手も、耳を撫でる子も― クリストファーはいかにもうれしそうに歓迎した。だれもが彼を好きになったのは当然だった。

それと、レベッカ・グリーンによる挿絵が本当に素晴らしいです。ほとんどがカラーでなかったことが惜しまれます。


本日10月27日~11月9日は第77回読書週間だそうです。4冊のうちいずれか皆様の参考になれば幸いです。

私の読書スタイルは、事務所やリビングダイニング、寝室と数ヶ所に積んでおいて、その場にいるときパラパラとめくるというもの。ですので、興味のある部分だけを拾い読みすることも割と多いです。寝る前に本を読むとすぐに眠くなるので寝付きの悪い方にはおすすめです(笑)

どんなに忙しくても月5〜10冊は手元にあるかな。多分いつも何か読んでいないと落ち着かない性分なのかもしれません。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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