可哀想な楠

ガーデンデザイナーになってから、これまでに何本の木を植えてきたでしょうか。平面図に木のマークとして大小の○を書き込み、ご依頼主様の了承を得られると、その場所に木が植えられていきます。低木も合わせると千何百本か・・・は植えてそうです。

私の場合は、ご要望をお聞きして、望まれて植えられる木ばかり。時にはお客様と一緒に木を選びに行くこともあり、それらの木達は愛着を持って育てられていると思います。

大事にしてもらっている木もあるかと思えば、近所の公園の楠など、もう存在を全否定されているかのような扱われ方。あまりに酷いので見た時はボーゼンと立ち尽くしてしまった程です。その公園では、子供さんもよく遊んでおり、自分で犬を飼っていた時は散歩途中にしょっちゅう行きました。ゴミステーションがあるので、今でも最低週1回は足を運ぶ場所です。

園内の構成はこうです。楠ばかりが5、6本植えられていて、奥の方は少し暗がりになるほど茂っていますが、中程の3本はいい感じの木陰を作ってくれていました。周りにはツツジやアベリアの花壇があり、あとは土の広場や遊具、レンガのスペース、フジの絡むパーゴラ、といった平凡なと言ったら失礼かもしれませんが、どこにでもあるような公園です。

私が越してきた時から、ツツジやアベリア、フジはうまく育っていなかったのか?雑草と共に草刈機で切られてしまっており、今はほとんどありません。そして楠は今年の剪定を請け負った業者さんが思い切り!切り詰めてしまいました。どんな事情があるのかわかりませんが、この切り方は酷い。

今日は自治会の草刈の日。朝から晴れて、作業していると暑くてたまりません。楠の木陰がなく熱射病になりそうでした。

近所の公園に植えられた楠。見るも無残な姿に・・・。

これまでここまで切られたことはありませんでした。楠、大丈夫か?たぶん大丈夫でしょうけど、あのゆったりとした球状の樹形が小一時間程で壊されてしまったかと思うと残念でなりません。ここは公園で憩いの場です。暑い夏も木陰なしで、しかもゴツゴツの無骨な枝を見ておれと・・・。もっと切り方があろうに!

年一回の剪定は効率重視です。「楠の葉なんて要らない」なんなら「楠なんて要らない」という思いのもとに切ったとしか思えない。それを楠がどう受け止めたかと思うと、可哀想で泣けてきます。感情移入しすぎでしょうか?同業者の仕事とはどうしても思えません。

ディアガーデンの事務所の目の前。この楠も切ない・・・。今年もこんなふうに切られてしまうのだろうな。この電灯は楠よりも後から建てたようです。でも越してきて以来のことしか知らないけれど、一回も灯ってないのよね!なんで建てたの?(`Д´)イミナイジャン。

公園や街路樹については、計画段階でどうにかならなかったのか?維持管理に美意識はないのか?と、時折り思ってしまいます。綺麗にすれば観光に一役かいますのに勿体無い。(実際、県内高島市にある「メタセコイヤの並木道」は自然風に維持管理されていて観光名所になっています。)

木は生き物のはずですが、お役所にはどうやらモノと思われているらしい。どうでもいいモノなのかもしれない。これでは近江八幡市の街並みも素敵になろうはずもないのです。ディアガーデンは・・・個人邸の前庭を素敵にすることで、せめて街並み貢献出来ればと思います。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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