前回の続きです。
施工をお願いしているパートナーの仕入れに同行して、京都嵯峨野にある植木屋さんへ、続いて石屋さんに寄りました。
石材の仕入れ先は、造園会社さんや造園材料屋さん、商社さん、石屋さんなど色々あります。自然素材なので、板石や砂利などの規格品以外は出会いもの。その場所に足を運んで、その庭に合うものを自分達の目で確かめて選別せねばなりません。
今回はパートナーさん馴染みの石屋さんで、景石いくつかと燈籠の台石、砂利を選んできました。(燈籠はお施主様のご実家にある雪見燈籠を移設するので、それに見合う台石が必要でした)
素材や他の石との相性、大きさ、据える時どの面を見せるか、石の印象(個性)、お施主様のお好み、などなど総合的に判断して施工パートナーと一緒に決めます。
画像のように結構自由な感じに置いてあるので、よくよく見ないと分かりません。宝探しのようです。
樹々の間に美麗な石燈籠がいくつも並んでいる眺めは壮観です。
この眺めを見て真っ先に頭に浮かんだのは、伊藤若冲の晩年作「石燈籠図屏風」です。
実際、この屏風の前に立った時の衝撃を覚えています。そもそも石燈籠を主役に描くこと自体が珍しく、若冲っぽいなぁと思いました。古い石の独特な質感を点描で表現しているところもその時代唯一無二な感じで。庭や神社仏閣でもあのような燈籠の並び方はありえなくて、まるで燈籠が人のようにこちらを見ているような感じがしてゾクゾクしました。
さて燈籠ですが、現代の庭では、実際に照明として使われることは殆どなく、これ置いたら一発で和風庭園になるという「ディスプレイ」的な存在でしょうか。私は用の美を目指して設計しているので、ちゃんと照明として使ったこともありますが。
やはり品良くおさめるには素材の質、サイズが場に合っていること、燈篭の使用目的と庭のデザインが合っていること、そして植栽ふくめた雰囲気づくりが大事かなぁと思います。難しくはありますが、照明のデザインに凝るのは今も昔も変わらないのだなと思うと、少し肩の力も抜けるような。
置き燈籠で「寸松庵燈籠」(上の画像左側にある小ぶりな燈籠)などは、今の住宅の坪庭などで割と取り入れやすいと思います。石ですが古いものは柔らかさがあり、そのようなものをお求めになると、庭の雰囲気そのものが優しくなります。
おひとついかがでしょうか?
こちらで酒船石という石を初めて見ました。
上面に皿状の窪みがあり、それを結ぶ溝が掘られています。お酒をつくる道具、あるいは薬をつくる道具、もしくは素直に庭用資材???など諸説あるようです。
かなり癖強手水鉢です(笑)
敢えてモダンな空間に据えて、不思議さを更に強調したら面白そう。
石を据えるときは、私は口出しするだけで、何も持ち上げられないのですが、ダイナミックで大好きなんです。
素材がほぼ決まったので、頭の中で庭の完成がほぼ見えました。
しっかり造ります!