いつもお世話になっている素敵マダムから「佐川美術館で田中一村展やってるよ」との情報をいただきました。
「きっと馬渕さん好きだろうと思って!」
「えー、なんでわかるんですか?めっちゃ好きです、一村!」
お聞きしてからだいぶ経ちますが、ようやく少し手が空いたので見てまいりました。佐川美術館までは車で30分程。結構近いのです。クールでモダンな建物がかっこよくて、いつも空いてて静か。県内では一番好きな美術館です。
このブログでも過去何回も登場しています(^_^;
一村の詳細ついては美術館のサイトをご覧いただくとして。
私が一村を知ったのは、たしか30歳になってまもなくの頃。奄美の亜熱帯植物、鮮やかな花や鳥、それらが力強く生き生きと描かれていて、一目みると決して忘れられない絵です。すごくモダンな構図で、日本のゴーギャンとも言われています。日本にこんな絵を描く人がいたのか!って衝撃を受けたのを覚えています。その一村の絵が、なんとここ滋賀で見られるなんて!滋賀に住んでいて良かった!(←ちょっと大げさか)
米邨が一村になる軌跡の展示です。それをたどっていて、私がなぜ一村の絵が好きなのかもわかりました。米邨と名乗っていた若いころ、琳派への傾倒もあったのです。米邨も酒井抱一の絵の影響を少なからず受けていました。草花の絵なんか、琳派の構図そのもの、っていうのもたくさんありました。
琳派は花鳥風月を題材にした絵が多く、日本画の中でもひと際モダン。私はそういう絵なら何でも好きなようで、だから一村の絵も覚えていたんだな~。個人的にすごく腑に落ちたというか。
それと今回初めて実物を見て、もうひとつわかったこと。黒だと思っていた色が、実は深い深い、深い緑色でした。あの洗練された深い色、柔らかくて奥行があって、本当に素晴らしい。あの色があるからこそ、鮮やかな色が更に映えて見えます。庭の絵を塗る時、出来るかどうかわかりませんが、真似してみようと思いました。
あぁ、それにしても。沢山の絵を見て感心したのは、一村の絵に対する一途な情熱です。
画壇とは決別し、生涯妻をめとらず、自らの才能だけを信じて、清貧を貫き、ひたすら絵を描いた69年の生涯でした。きっと書かずにはいられなかったのだと。普通ならもう落ち着いてしまいそうな50歳という年齢から、敢えて知り合いのいない奄美に移り住んで、新しい挑戦を始めたりして。画業が天職だったのですね。
そうだとしても・・・一体どうやって高いモチベーションをキープ出来たのでしょうか?一村にあって聞いてみたい。いないけど。
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いつになく混んでいた館内。実は佐川美術館でこんなに人を見たのは初めてでした。(といっても絵を見るにはなんのストレスも感じない程度の人数ですけれど)
特別展の部屋を出て、常設展の部屋へ向かうと、一気に人が減って。みんな一村だけ見て満足されたのかしら?だとしたら勿体ないな。樂吉左衞門の茶碗の展示室は佐川美術館の中でもとびきり洗練されているのに。
しかし、いつ見ても、樂さんの茶碗はよく分からない。
重そうだし、飲み口は分厚くて角が立っているので、唇を切りそうです。ひしゃげた茶碗もあって、どこから飲んだらよいかすらもわかりません。持つと自然に口に当たる部分、たぶんここかなぁ?なんて、随分と観察しました。実際お茶を点ててもらって、このお茶碗で飲むでもしないと、本当のところはわからないような気がします。
広い広い展示室にちっちゃなお茶碗がポツポツとあるだけ。モノトーンの張りつめた感じが非日常的。なんとも贅沢な空間。そして、モダンインテリア好きにはたまらない空間です。
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帰り際に、特別展のパンフレットをいただきました。これがまた良く出来ていて、どうやら人気があるようです。わざわざ「おひとり様一枚限り」と注意書きがしてありました。
表には、展覧会の絵の中でもいいなと思った一枚が大きくプリントされていて、ローマ字のロゴも絵とよく合っていてお洒落です。開くと縦長のポスターみたいになります。
「コレ、めっちゃええやん!」気に入り過ぎて、パネルに加工しました。事務所に飾ってます♪(←どんだけ気に入ってんだか!)
興奮すると、ちょいちょい関西弁が出ます(笑)
奄美には田中一村記念美術館がありますが、なかなか行けそうもないので、いつの日か、晩年の作品をどーんと集めた展覧会を、また関西で見られたら有難いな。