地震に強い生垣

大地震発生で熊本の皆様は今も不安な時間を過ごされています。どんなにか怖い夜だったか・・・。余震も大きいですし、逃げ出そうにも動けない皆様を思うと情けないことにお掛けする言葉も見つかりません。

日が昇ると悲惨な状況が次々に映し出されて、家々の倒壊も然ることながら、仕事柄やっぱり見てしまうのは家の周りです。多くのブロック塀が崩れているか大きく傾いています。瓦礫となって道路を塞いでいるものもありました。近づいて見ないとわかりませんが、構造や鉄筋・基礎の状態が基準に法っていないと、ブロック塀は本当に脆く崩れるものです。過去の地震では、ブロック塀の下敷きになって亡くなられている例もあります。

エクステリア工事では合い見積もりや値下げ合戦が日常と聞きます。私はそこに参戦しない主義なので、ピンときていないのですが、同じ工事内容で値段をどんどん落とすと、手抜き工事になりかねません。見えないところや埋まってしまうところ=構造や鉄筋、基礎に手抜きをされるとどうなるかお分かりですね?

いま業界で問題なのは、その安すぎる単価が標準単価のようになってきていること。まっとうな値段を下げることは行く行くは己の首を絞めかねません。もう一つは若い職人さんが、手抜き工事が当たり前の工事と勘違いして仕事を覚えてしまうことです。何も知らないお客様に「これでは地震が起きたとき不安ですよ、保証できませんよ。」とお伝えても、それでもいいという方もおられますのでね…。どうしたもんでしょうか?

私は家の周りは、できれば軽いフェンスか生垣のようなものが良いと思っています。特に生垣はブロック塀より遥かに安く早くご提供できます。工事も手抜きするところなどほとんどありません。地震で傾いたとしても、木が生きていれば植え直しもきくでしょう。傷んだところをとってやって、水をあげればまた自分で再生します。それに2m程の生垣なら、倒れてきても命までは奪われないと思います。生きた木は火災の延焼を遅らせ家を守ってくれますしね。潤いある街づくりの一助として、市町村から工事の助成金がもらえる場合もあり、本当にオススメです!

ディアガーデンのテラスの緑は生垣が主です。お隣さんの視線を遮ってくれ窓外は一年中この景色。11月に一回だけ剪定して、その切り枝でクリスマスリースをお客様と作っています。いろいろな楽しみをもらっています!

長年手入れされた生垣は風格があり威厳すら感じるほどです。ほったらかしのブロック塀と違って手入れは要りますが、それは年間たった数日ですよ。根付いてしまえばよっぽど乾燥したとき以外は、水やりもサボってOKです。ご自分で剪定ができないのなら造園職人さんに頼んじゃってください。

ディスプレイガーデンのもう一つの生垣。昨年夏に職人さんに剪定してもらって、まだピシッとしてる。ヒイラギモクセイの木です。トゲトゲの葉で侵入者対策。本当に痛いです。秋にいい香りの白い花も咲きます。

その時は折角お金を払っているのですから、楽しんじゃってください。メンテナンスだけしてもらうんじゃなくて、植物や庭のわからないことを教えてもらうのです。普段そういう方たちと話すことはないと思うので、この際思いっきり交わっちゃってください。職人さんたちは話しかければいくらでも話してくれます。植物LOVEな人たちばっかりですから!ひょっとするとお客様にとって新しい世界が開けるかもしれませんよ。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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