庭の花を根洗いして

ディスプレイガーデンのあちこちで低木や宿根草の芽吹きが見られるようになりました。

高木の芽はかなり膨らんでいますが、まだ固さがあります。シンボルツリーのアオダモに至ってはそんな様子もなくて、例年通り一番最後になりそうです。

それから、いま咲いているのは低木の花。沈丁花や斑入りサカキ、もう終わりそうな数寄屋侘助椿です。宿根草はクリスマスローズやスミレなど。

これらの中のいずれかの香りが風にのって鼻先に届くことがあります。

冬の空気に花の香りはありませんから、こうして次第に花の香りの空気が漂い始めると春を感じます。

ニオイスミレが咲いています。甘いというよりスッキリした香り。

特別な香りをもっと身近に感じたくて、今の時期よくインテリアに取り入れています。

根を付けたままそっと掘り取ってきれいに洗い、乾燥しないよう苔に水を含ませカバーして活けるのです。

この方法は根洗いと言い、球根でも素敵に飾れます。

インテリアとしてしばらく楽しんだら、また庭に返しますので、株が減ることもありません。

昔作ったアレンジ。庭のニオイスミレを根洗いして飾っていました。こんなに小さくても部屋いっぱいに春の香りが広がります。

鉢で育てているバラの害虫(コガネムシの幼虫)対策として、一緒に植えこんでいる水仙もいまちょうど満開です。

幾つかそおっと抜き根洗いして飾ります。そして花が終わったら葉をつけたまま再びバラの鉢に戻します。毎年この繰り返しですが球根が痛むこともありません。コンパニオンプランツとしてまた活躍してくれます。

毎冬土を変えているのですが、水仙を植えてから、コガネムシの幼虫は一切見なくなりました。本当です。コンパニオンプランツの力、実感しています。

水仙の根洗い。ガラスの器に入れるとテラリウムっぽい。清潔感もあります。
水仙の茎はか細く倒れやすいので、スッポリと包む大きなガラスの器が合います。球根の乾燥防止と水分補給のために水苔を敷いています。
こちらは花生けの仕事より。原種系かな?丈の低いチューリップ。球根が付いたものを仕入れました。アンティークのピューターの器にグリーンの山苔を敷いて。

春の球根植物といえばチューリップ。

この頃は球根付きのチューリップも花屋さんで見かけます。もし出会ったら、ぜひ根洗いの要領で飾ってみてください。見違えます。

まぁね、球根付きでなくても、可愛らしくて買っちゃいますけれど~。

茎のしなやかさを生かしてチューリップを活ける。春待ちのリビングダイニングです。
買ったときは蕾。全体的に淡いグリーンで先がほんのりピンクでした。咲き進むにつれてピンク勝ちになってきましたよ。

たまにヘコむことがありますが、花を見たり、触ったりしていると自然と力が抜けて口元が緩みます。

本当言うと全く笑う気分じゃなくて、なんだったら泣きたいくらいなのだけれど、花の前で不機嫌のままでいるなんてこと、私には出来ないみたいです。

嫌なものを吐き出して、花の香りで身体いっぱい満たすんだ。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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