遅まきながらGWの話題です。
夫婦で連休が取れたら、温泉宿で鋭気を養いつつ、どこかしらのお庭や花園を訪ねる「花巡り旅」や素敵な建物や美術館を訪ねる「建築探訪旅」をしています。
今年のGWは能登、和倉温泉へ行って参りました。近江八幡市からは車で4時間ほどかかります。遠いのは間違いないけれど、自分たちのペースでいける車ならではの楽しみもあります。荷物が増えも気にならないし。
車窓から見える山々は新緑独特の若さ溢れる黄緑色。そこに今を盛りとヤマフジやヤマボウシ、ウツギなどの花々が彩りを加え、眺めているだけでテンションが上がります。
休憩がてら寄るパーキングや道の駅は、最近どこも充実していて、その土地ならではのお楽しみがギュッと詰まっています。片道で3ヶ所くらい寄りました。
さて、今回花巡りをしたのは、和倉温泉からすぐの青林寺。
薬師如来をお祀りする静かなお寺で、隣に大正天皇が行啓された折にご休憩された建物が移築保存されています。そのお庭がSNSで紹介されて、ここ数年で一気に参拝客が増えたようです。
実は私もそんなSNS投稿で青林時の存在を知った一人。
どうやら、お庭がどうというよりリフレクション(鏡面反射)させて映える写真が撮れるのが人気らしいです。
お寺の方もそれを心得ておられるのか?参拝者を集めて、最初にリフレクション撮影の解説をされて、ちょっとびっくりしました。
お庭が見える部屋にガラス板を載せたテーブルがありまして、布が2ヶ所置かれています。そこにスマホを置いて撮影すると、簡単に映える写真が撮れるとのことでした。
建物やお寺の解説は撮影の後でしっかり聞けます。恐らく、先に建物の解説をしていても写真だけ撮って帰っちゃう人が多いのでしょうね。
「はい、それでは、撮影されたい方は順番にどうぞ~。」と促され、いざスマホを構えると・・・
本当に素敵にリフレクションしてるー!なるほど、ここはベストポジションです。
モミジやツツジ、サツキなどが山の斜面にそって植えられていました。取り立てて特徴のない奥行きがない庭ですが、部屋から見るとかなり立体的に木々が迫ってくるように見えます。ちょうどサツキが花盛り。初夏ならではの華やかさがあります。
建物の軒が深く、縁側もあるので、部屋はいつも薄暗い。反対に庭は光に満ちて、だからこのように撮れるのですね。もちろん、ガラス板の効果もあるでしょうが。柱の陰もグリッドのように美しく、日本建築の素晴らしさが実感できます。
少し暗めの安全な場所から明るい外を見るとき、人は最も落ち着くと言われています。これは遺伝子レベルで刷りこまれているもので、庭が一番美しく見えるシチュエーションでもあります。
境内には色々なツツジやサツキが育てられていました。
中でも印象的だったのはキレンゲツツジ。淡い黄色の花がとても爽やかです。
ツツジやサツキは日本では歩道などにもよく植えられ見慣れすぎた低木。庭にサツキなんてつまらないと言われがちですが、こんなに風土に合っていて育てやすい木は他にありません。
大変信頼できる木で、ヤマツツジは枝振りも面白いものが多いし、レンゲツツジやキリシマツツジは花色がいいので、私はよくプランに加えます。
花巡りの最後に花嫁のれん館に行きました。
花嫁のれんとは、石川県の能登、加賀、越中地方独自の風習で、嫁入りの時に嫁ぎ先の仏間に掛けられ、花嫁がくぐるもの。加賀友禅で染め抜かれた家紋を入れる美しいのれんです。多くは婚礼の後は使われることがないそうですが、それでも一生に一度と娘を思い贅を尽くして誂えた品なのです。
以前、花嫁のれんという昼ドラで見て、その存在を知っていましたが、実際見るのは初めてです。
こちらには明治から平成までの花嫁のれんが展示されています。加賀友禅で描かれる植物はどれも品があって惚れ惚れするような豪華なのれんでした。
のれん館へ通じる一本杉通りでは、商店のショーウィンドウに、その家に伝わる花嫁のれんを展示するという催しもあって、楽しく拝見しました。コロナ禍以来久しぶりに展示されたそうで、良いタイミングで来れて良かったな。
お宿編に続きます。