花生けのお仕事より(7月8月)

ディアガーデンではお庭づくりや外構工事といった建物の外回りのお仕事だけでなく、植物に関するご要望に広くお応えすべく、インテリアプランツの納品や装花室礼といったお仕事も受け賜わっております。

京都市内のある店舗で、夏の装花室礼の仕事をご紹介します。

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ブログではこれまで月毎にお伝えしていましたが、この夏は超ハードスケジュールだったため、花生けには通っていたものの、投稿出来ずにいました。

ですので今日は2ヶ月分まとめてご紹介します。

この頃は夏の盛りでしたので、訪れる方に少しでも涼を感じていただこうと、季に先駆けて初秋の花を生けていました。秋を迎えつつある今に生けてもピッタリなアレンジですので参考になればと思います。

また今回は、新しい花器を仕入れて使っています。合わせてお楽しみください。

①投げ入れ

緻密に編まれた竹籠に玉川ホトトギスをシンプルに生けて。野に咲く花のような凛とした雰囲気になりました。
よく見るホトトギスは赤紫色の花ですが、こちらは淡い黄色で変わってますでしょ?玉川ホトトギスは京都井手町で発見された早咲き品種。関東の玉川とは関係ありません。
7月末はリンドウに生け変えました。リンドウは花もちがいい。
お盆の前に。ハスの実に赤紫の穂を合わせて。緑の茎を下へ流し立体的に生けてみました。

この竹籠は馴染みの骨董屋さんでの出会いもの。

店主によると昭和初期のもので「竹風斎作」と銘があります。調べてみると恐らく島橋竹風斎氏(1888-1949)のことではないかと。

端正な編み目、均整の取れた立ち姿がとても上品。和の雰囲気ですがフォルムがモダンで洒落てます。マブチ好みですが、私感だけで選んでいる訳では決してなくて、こちらの白木のカウンターに絶対合うだろうなと思ったのです。

初夏から秋まで結構長く使えそう。

②掛け花

花器は備前焼きの蹲。クレマチス「エトワール」を枝垂れさせて。頭が重いので抜け落ちてしまわぬよう根元は枝を十字に結わえ留めています。
7月の中旬は吾亦紅に、こちらのお店の花壇で育てているリュウノヒゲとツワブキの葉を手折って生けました。花器は同じく備前の蹲る。

掛け花用の花器もひとつ仕入れました。

備前焼の蹲。「うずくまる」と読みます。

花器に見立てて使われる壺で、名前の由来は人が膝をかかえてうずくまるような姿から。前出の竹風斎の竹籠と同じ骨董屋さんで見つけました。

蹲はコロンとした愛嬌ある姿が魅力です。金具が取り付けてあり、掛けると壁に点を打ったようにちょんと居る感じがとても可愛い。手の平に乗るくらいのサイズですが、花材を枝垂れさせても合います。

掛けずに置いて使うことも出来るので、お店ではショーケースの上に飾ったりして臨機応変に使っています。

備前焼きの暖かな雰囲気は、秋から冬の間、わずかな花でも様になるというか。生けるのも楽しみです。

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掛け花では、以前から使っていた竹の花器もまた登場させています。

この花器は材は竹でも編んでいないものなので、通年使うことができ重宝しています。

お盆前。桔梗を竹の花器に。
8月下旬。薄の葉に女郎花。

③盛り花

たまには盛花をと、私物の花器を持参しました。

これは私が生け花を始めたときに購入したもので、これまで何度となく生けてきた馴染み器です。高価なものではありませんが、度重なる引っ越しを経ても尚手元に置いている程お気に入りの器。

青の色合いが気に入っていて、濃すぎて沈むこともなく薄くボヤケもしない青というか。夏らしい青い花や白い花にとっては同系色、秋らしい色合いの花とは補色関係になるので、割と何でも合います。

オレンジの小菊と女郎花、薄の穂。青とオレンジは補色に当たるため、何気ない花材でも映えます。

花材は季節によって変わりますが、それを受け止める器が常に同じですと、なんとなく変わり映えしません。

逆に同じ花材でも器が変わると、生け方が変わりますので、全く違う雰囲気になります。花器ではないものを花器に見立てて使うのも面白いです。

花材と花器のマリアージュ、これからも私なりに考えて生けて参ります。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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