これからのプランツデザイン

昨日は観葉植物を納品した帰りに、植木を見に行ってきました。

用事を済ませてまだ時間があったので畑をひとまわり。夏は植栽に向かない時期ですから、他の季節に比べると木の量が少なめです。でも葉っぱのついた姿が見られます。

レアものと言えば、巷で流行りの山取り風の木でしょうか。畑で育ったような四方見のよい(形の整った)木ではなく、山の中でたくさんの木に囲まれて上へ上へと伸びたような木のことです。下枝がなくヒョロヒョロとした面白い姿をしています。

ビヨーンと斜めに伸びた雑木です。見ると根鉢は水平だったので、決して傾けて植えているわけではないの。景色づくりは使い方次第です。感性が問われますね。

10年程前は四方見のよい木ばかりがもてはやされていた様に思います。雑木の庭が流行りだし、今はより自然風がカッコイイ。山取りの木は一本生かしでも寄せて使ってもOKで、狭い庭に可能性を見出します。1階は伸びやかな幹を眺め、2階の窓からはそよぐ葉を楽しむ、なんてのは山取りの木ならでは。私も場が合えばオススメしようと思います。

一般の方には分かりづらいかもしれませんが、庭づくりにも流行り廃りがあるのよね。

草花についてもそうで、異常気象と言われる環境に適応すること、水不足や管理不足でも綺麗に見えるようなプランツデザインが台頭してきています。木のフォルムをどうこう言うのはともかく、環境に合わせた庭づくりは必然です。

先日のこと。

里帰りしたときお墓参りをしました。まだ開いている区画は更地のままなので、色々な種類の雑草が思い思いに生えていました。もちろん誰かが植えたわけでもなく、水といえば雨が降る時だけ。それなのに何とも素朴で自然風なお花畑になっていたのです。墓場なので、さすがに写真を撮るのは控えまして、画像をお見せできないのが残念なのですが、見た瞬間「うわー、きれい」と思わず言ってしまった程です。

どんな花畑だったかというと、

ベースはイネ科やカヤツリグサ系のグラス類。細い葉や穂がふわふわとして花畑全体にソフトフォーカスをかけたような感じ。その間に白いヒメジオンやノゲシのような黄色い花が均等に咲いており、アクセントにネジバナ他ピンクの花が混じっています。どの花も小さいけれど一杯咲いています。端っこの方には、供花から種が飛んで増えたのか?紫の三尺バーベナがあって、これが増えたらもっといい感じになりそうでした。面白いのは、これらがデザインしたかのように均等に生えていたことと、一見か細く見える草丈50cm~70cm程の草花がシャンと立って咲いていたことです。

こんな説明でうまく伝わってるかな?あーやっぱり撮るんだった~。でも何か映っちゃったら怖いし~ 。

傍にいた母はしょっちゅう参っており、その景色は当たり前になっているのか、こんなに見事な花畑に気づきもしません。

「お母さん、ちょっと見て!手入れも水も貰えへんのにめっちゃきれいに咲いてるで!」と言うと、

「ほんまに雑草は強いなー。」(←私ほどは感動していない母。)

「次の日曜は墓掃除やからここもきれいに刈ってもらえるやろ。」って、そんなー。

何を美しいと捉えるかは人それぞれ感性が違うので差がありますね・・・。でも間違いなくこれからのプランツデザインには、こういう野草たち(自生植物)を美しく活かすことが大事になってくると思っています。一見雑草だらけに見えるこの場所も、魅せ方次第ではウチの母も見違えるでしょう。

手入れいらずでも美しく育つように、もちろん雑草畑に見えないように植えることが、ガーデンデザイナーの課題となってくるでしょう。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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