景石選び。石の魅力とは

来月造園工事予定の現場に入れる景石を選んできました。今ある木を整理して坪庭を作ります。

お客様のお好みを元に、その場に合う大きさや雰囲気の石を探します。まずは中心となる石を決めて、添えとなる石(バランスを取る石)、その周りの石など、次々と見ていきます。パートナーの造園会社様と一緒に、あーでもない、こーでもない、とか言いながら、石を見るのはとても楽しいです。

私はいつもパートナーの土場や、石材の問屋さんで見させてもらいます。大抵、産地ごとに分けてざっくりと積まれてあるので、石の上を登ったり下りたりしながら探していきますが、その山がね、結構高いの。

こういうときの為にも、日頃から、足腰や体幹を鍛えておかないと! です。男性は当たり前にひょいひょいと登って行ってしまうので、戸惑っていたら置いて行かれちゃう。

もともと高いとこは好きだけど、こんな場面で万が一にもオンナが出ようものなら「アホか」と思われます。心の中ではビビりながらも、何食わぬ顔してついていくマブチです。

ものすごい巨石から坪庭に合う小ぶりの石まで、色々あります。

色々な石を見ていると、これはこういう場面に合うんじゃないか?こうして使うとカッコいいだろうな、という話で盛り上がります。もしも使える機会に遭遇した場合、すぐ提案が出来ますから、見ておくだけでも勉強になります。

出来たてホヤホヤの庭でも、石があると、重みが出るというか、地に馴染んだ眺めになるように思います。植物を植える時は、石に添わせるように植えられるので、自然の景色に近くなり、更に馴染んで見えますね。それが庭に石を入れる魅力だと思います。生き物ではないけれど、何か特別な意志を持っているように感じることも。風雪にさらされながら、同じ場所でじっと佇んでいる様子に、色々な思いを重ねる方も多いのではないでしょうか。

石に魅力を感じ、遥々運び入れて自分のものにしたと思っても、石の命の方が上回るので、私達は石の前を通過しただけに過ぎません。時間の単位が違う。石と人との関係って不思議ですね。自然の中で、お庭探訪で、石の配置、使われ方など見るにつけ、そう思ってしまいます。

ライフワークの滝めぐりにて。滝のある庭を造らせてもらうことなどあるのかしら?わからないけれど、興味深く観察します。滝も見るけれど、転がっている石を見てる。動く水に対して動かない石。ここで人は部外者。ただ圧倒されるのみ。
「ウェスティン都ホテル京都」の裏には植冶さんの回遊式庭園が広がっています。置かれたものなのか、そこにもとからあったものなのか、わからないほど馴染んでいる石。人が作った庭ですが、自然にかえりつつあるようで。
島根県の足立美術館の庭園。借景の山とのつながりが見事です。きれい過ぎて(人工的過ぎて)若干すましている感じはしますけれど。この威厳ある石がなければ、これほどの眺めはない。
智積院の坪庭。ほんのわずかな空間ですが、石組みがあることで、庭として成立しています。
重森三玲庭園美術館にて。石がにょきにょき立っているのが特徴です。(←この言い方!怒られるわ^^;)とにかくいっぱいいるから、石同士お話しているみたいやわぁと思いながら座敷から眺めていました。人が違えば全然違って見える。それが面白い。
小さいけれど飛び石に使う石にもこだわりたいところです。石の上に置いてある可愛いものは「関守石」といいます。「ここから先の立ち入りはご遠慮ください」とさり気なく伝えるもの。立ち入り禁止の看板を立てては雰囲気丸潰れ。こっちの方がよろしおすなぁ。

石って面白いですね~。いいですね~。

坪庭が完成して、お客様の許可が出たら、ブログでご紹介出来ると思います。素敵な眺めが出来るよう、パートナーの造園会社さんと共に、一生懸命頑張ります。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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