古民家の庭を改修中です

本日のブログは施工現場の様子をUPします。

秋以降、バタバタと現場を飛び回っています。ひとたび現場が始まりますと、材料の搬入や職人さんの手配、施工監理等で気忙しく、なかなか記事にまとめる時間が取れません。

そうこうしているうちに1邸完成しまして、無事お引き渡しできました。

11月初旬にシンプルモダンな外構が完成。最新のシャドウクールカーポートを採用。かっこいいです!

新築戸建て住宅の造園・外構工事をお任せいただきました。コンクリート土間をデザインして、機能的かつ印象的なアプローチに仕上げたお宅です。

早速、施工事例に反映させましたのでご覧ください。ご参考になれば幸いです。

コチラ→ M-house


さて、ここからは現在工事中の現場の様子をお伝えしようと思います。

今回のお宅は古民家。

建物は昭和の初め頃に建てられた平屋で、ブロック塀に囲まれた前栽と、建物裏に回遊式のお庭があり、共に改修します。

初めてご案内いただいた時、お庭はかなり荒れていました。

植木は年数が経っており幹が太い。しばらく植木屋さんの手入れが入っていなかったようで、樹形は崩れていました。枯れかかった木、逆に伸び放題になっている木、一人生えの南天や万両、雑草はもちろんのこと蔓延り放題です。

でもよく見ると、景石の佇まいがとてもいい感じ。滋賀県湖西地域で採れる守山石ほか地元の石が多く使われています。庭を歩くための飛石は、小ぶりだけどしっかり厚みがあり安定しています。建物に付随する犬走りは霰こぼしに土目地、山灯籠(自然石を組み合わせて作る灯籠)や大きな手水鉢などが昭和らしい庭の風情を醸し出していました。

改修工事前の裏庭の様子。放置された時間あり荒れていました。動画を編集した画像なので粗くて見づらいかと思います。雰囲気は伝わりますでしょうか。

お施主様のご希望は2点。

既存の材を精査し生かしながら、手入れのしやすい庭にしてほしい。前庭には来客用の駐車スペースを確保してほしい。その他は全てお任せで、とのことでした。

建物・庭共に、解体整理していただいてから造園工事のスタートです。植木は手入れの時間が取れないご事情と、樹形の回復が難しい木が多いことから、殆どを処分することになりました。

解体後の裏庭の様子。生かす石や植木にあらかじめ印をつけて残し、それ以外は処分。庭の全体が見通せました。

庭の骨格は変えず、昔の職人さんの作庭意図を想像しながら、私なりの新しい解釈で石を据え直していきます。

据え直すのですが、この現場で一番大変なのは、全て人力で作業しなければならない点です。

旧市街地なので前面道路の幅が3mほど。特に裏庭へのアクセスが困難で、四方が建物で囲まれているため、通常であればユニック車を入れ、クレーンで吊って移動する大きな石も、全て人力で動かすしかないのです。

こういう場合、三叉とチェーンブロックが大活躍してくれます。(下の画像参照)

石にワイヤーを掛けて吊るすと、上下の移動は簡単。でも左右はちまちまとしか移動できません。移動不可能な石は、そのままでどう活かすかを考えます。

石を据え直しているところ。少しづつ角度を調整しながら一番しっくりくるように、職人さんと相談しながら一石一石丁寧に据えます。立石の移動は不可能でした。

骨格は変えないけれど、庭の点景である灯籠、立石、手水鉢を据え直すことで、庭はかなり様変わりしました。

飛石も打ち直し、歩くときに変化を感じていただけるよう延段を新たに作りました。私は延段好きなので、これは個人的に気に入っているところです。

縁側から見た裏庭の眺め。石は7割据え直しました。手入れを考慮して少しだけ植栽をし照明も設置。あとは防草シートと砂利を敷いて仕上げます。

こちらの建物や庭は、過去何度か改修されているようで、掘っていると思わぬところから石が出てきます。平らで薄い石かと思いきや、景石として使えるような嵩高い石だったりして、掘り起こすのに一苦労です。

職人さんと「(古い庭改修)あるあるやな」と苦笑しながら作業しています。

こういう現場は大変なのだけれど、工夫のしどころがあって、とてもやり甲斐があります。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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