関西では大晦日の夜から雨。初日の出は見られないとの予報が出ていたのですが、明けると一転。澄み切った青空が広がっていました。諦めていただけに、こんなに嬉しい元日の朝になるとは思いもよりませんでした。
ご来光の瞬間は、初詣を終えた氏神様の境内でした。大檜の足元で、神々しく輝く暖かな光に全身包まれて、なんと有難い幕明けだろうと、平和な日々を祈りながら手を合わせ、喜んでおりました。
そのあとは家に戻り、例年通り、夫が用意してくれたお酒と、義兄夫婦がついてくれたお餅、手作りのお節で元旦を祝い、平凡ながら穏やかで幸せな時間を過ごすことができました。
年の始めの目出度さは、日頃よりも磨きをかけて清らかさが増した家に飾るお正月飾りに表象します。これがなくてはお正月らしさは感じられないのではと思います。
お正月の室礼を一つひとつ紐解くと、新たまる気持ちをよく表したものだと感心します。
水引の赤白や松の緑、漆器の赤や黒、そして柑橘類の黄色や橙といっためりはりある色調はお正月ならではですし、歳神様を迎えるしめ縄や鏡餅なども日頃とは異なる静謐な空気を醸し出します。
我が家のお正月飾りは、玄関の外にかけるしめ縄や松の飾り、そして室礼としては鏡餅や花飾りなど。盛り物も欠かせません。全てを仕上げると、質素ながら華やかさ一入です。
他の飾りは松の内が終わると片付けますが、干支飾りだけはそのままにして、年中玄関に飾りっぱなしにしています。縁起物なので、家と家族を守り、運気を高めてくれるものだからです。
私が毎年購入している干支飾りは匂い袋付きのもの。ちりめん地で仕立てられた姿形も愛嬌があっていいのですが、何と言っても老山白檀や丁子などの甘い香りが一年中続くところが気に入っているポイントです。特に飾りはじめの香りは素晴らしくて、玄関先の空気を浄化してくれるようです。
今年は夫が年男なので「辰」のお飾りは特別な思い入れがあります。いつもは一つのところ二つにしました。
こんなふうに室礼を整えて目出度い気分で穏やかに過ごしていた元日、いい年明けだと喜んでいた夕方にゆれたのです。
ゆらりゆらりと左右に大きく、時間にして1、2分くらいでしょうか。これは大きな地震だと直感的に分かるゆれ、震度4でした。
穏やかな幕明けが衝撃的な幕開けと変わってしまった瞬間です。
能登半島を震源とする大地震、そして翌日には羽田空港での飛行機追突事故と災いが続きました。地震が起きなければ物資を運ぶこともなく飛行機事故も起こらなかったでしょう。この不条理には気持ちの持って行きどころがありません。
地震が起こるのは地球時間によってで、人間がお正月を過ごしているから待ってくれ、などというのは全く通じないこと。そんなことは関係なく起こっているものと、頭では理解しているけれども、心は、どうして、どうしてと思ってしまいます。
私はたまたまですが、昨年のGW起きた珠洲市震源M6.3の地震の折に七尾市にいて、町中に防災アラームが響き渡る様を経験しました。あの時は大事には至りませんでしたが、一つの予兆だったと思います。能登の美しい風景と地震の恐怖は、私の中で混然としています。
また北陸には仕事でお世話になった方々や知り合いもいて、本当に気が気ではなく、非常時とは知りつつも連絡を入れてみました。幸いご無事で、建物の中は荒れているけれど倒壊は免れたとのこと。余震に怯えながらも片付けに追われるご様子でした。1日も早く余震が治まり、安心して眠れるようになるといいのですが。
日を追うごとに地震や事故の状況が明らかになってきました。これから私にも協力できることがあると思いますので、連絡をしたり情報をよく見ておこうと思います。