染井吉野がだいぶ散って、次の見頃は枝垂れ桜かなと平安神宮へ行ってきました。こちらは紅枝垂れ桜の名所なのです。今年のお花見散歩はこれが最後になりそう。庭探訪も兼ねてじっくり味わってまいりました。
画像多めです♡
平安神宮の桜は、これまで夜のイベント「紅枝垂れコンサート」でライトアップされたところを何度も見ています。でも明るいうちに見たことはなかったのよね。
私の場合、庭探訪は最初は先入観なしに見ます。気に入った庭なら、それからその背景を詳しく調べて改めて見ます。そして季節や時間を変えて見る、誰かと一緒に見る、また違う人と見る、等々シチュエーションを変えて何度も一つの庭に向き合います。その時々で見方感じ方が変わって面白いんです。庭はそうやって味わうものなんだって実感しています。
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この日天気は快晴。午前中寺町での用を済まし、そこからゆっくり散歩しながら岡崎界隈へ。薄いカーデを羽織っていたのですがもう暑くて暑くて!ワンピ一枚でもまだ暑い。植物たちもさぞ驚いていることでしょう。
岡崎に着くとちょうどお昼どきだったので食事をとってからお庭を見ることに。平安神宮そばの京料理「六盛」さんに伺いました。
六盛さんは岡崎で気軽に京料理を楽しみたい方にオススメのお店です。ブラリと入ってもたぶんお席はありそうですが、週末と夜は予約必須です。
「手をけ弁当」が有名なので是非。人間国宝の中川清司氏作という美しい手桶に、四季折々の食材が様々な味付けで盛り込まれています。食材それぞれのお味は間違いなくどれも本当に美味しかったです。口に運ぶたびに「♪」でした。これに一、二品追加も可能で、お酒と共に楽しむことも出来ます。お弁当なのですぐ運ばれてくるところがいいです。
六盛さんはスフレも有名。以前は本店近くの別店舗で出されていましたが今は閉鎖され本店のみです。一度食べたことがあって、そのときは考えられない位待たされた苦い思い出が。この日も結構並ばれていました。
スフレは一度で十分ですが、手をけ弁当の方は別の季節にまた戴きたいなと思いました。
さてお腹も満たされたところで平安神宮へ。こちらは明治28年創建なので比較的新しい神社といえます。そのお庭「神苑」は3つの池を中心とした池泉回遊式庭園です。
歴史的建造物に付随する庭は、池泉回遊式か枯山水式かのどちらかで大抵重厚な雰囲気ですよね。でも平安神宮は新しい神社なので、お庭も古めかしさはさほど感じません。
景色を積極的に楽しもうとしているような、今でいうアミューズメントパーク的なところが感じられます。
平安神宮の庭を造ったのは作庭家7代目小川治兵衛。彼はもともと普通の庭師でしたが、山縣有朋のお抱え庭師になったことで運命が変わります。有朋の京都の別荘「無鄰庵」で二人のパートナーシップが確立され、名声が広がり、この界隈にある別荘地を買ったセレブリティの間で人気沸騰、そして平安神宮も手掛け、多くの公共造園に携わっていく。
斬新な庭のアイデアは施主の有朋だったのですが、それを具現化したのは小川治兵衛の手腕によるもの。「有朋はん、またえらい無茶ぶりしはって・・・w」なんて言いながら、さてどう作ろうか?!一生懸命な治兵衛さんを勝手に想像しています。普通の庭師が著名な作庭家になっていく、そんなドラマを想像するだけでワクワクしてきます。
お施主様に恵まれること、それは運命もあるけれど、やっぱり実力の内ですよね。ひとつひとつのお仕事に最善を尽くすこと、お施主様に喜んでいだだけるように。目の前の仕事を楽しみながら鍛錬を積み重ねた先に、色々なチャンスが巡ってくるのかもしれません。頑張ろう!
桜は約150本のベニシダレザクラをはじめ、ソメイヨシノ、ヒガンザクラなど約20 品種・約300本も植えられています。治兵衛の「春を京都らしく華やかに盛り上げるんや!」という思いが伝わってくるようです。
花散らしの雨が降りそうです。景色一転、これからは新緑を愛でることといたしましょう。