梅雨前に剪定のお仕事

先週は現場や展示会などで、外に出る日が多かったのですが、晴れの日ばかりで助かりました。

造園の仕事はお天気に物凄く左右されます。雨だと実質的に出来ない作業も多いし、出来たとしても効率や仕上がりに差が出そうなので、降らないといいなぁと願って、しょっちゅう天気予報をチェックしています。

関西の梅雨入りはもう間もなく。「出来れば梅雨までに剪定を」と伺っていたお得意様宅の仕事が済んで、ホッしています。

そのお宅、広い敷地に色々な庭木が何本もあります。高さ7~8m近く育った木が多く、ご事情があって長年茂らせた状態でした。実は2年前に「あまり切らないで」とのご希望で少しだけ手を入れましたが、また元の状態にまで復活してモリモリ茂っていました。

それで、今年は状況が変わったこともあり「強めに切り戻したい。枝も透かして庭に光を入れたい」とのこと。それならと、樹形を作り直すつもりでバッサリ切らせてもらいました。といっても、切ったのは私ではなく、パートナーの職人さんですけれど。今回は一人で二日間頑張っていただきました。

ビフォーアフターを見ていただくと、スッキリ加減がよくお分かりいただけるでしょうか。

剪定前。塀の向こうに見える庭木が剪定する場所。家が見えない程高く、またかなり茂っています。梯子で手が届かない木は、ユニックにゴンドラを付けて作業していただくことに。

今回のように樹形を作り直すには、目指す樹高を考慮しつつ、良い枝があるところまで下って切り詰める必要があります。良い枝というのは、樹種により一概には言えませんが、緩やかに外を向いて伸びており、他の枝と重ならない健康的な枝。変に上を向いて真っ直ぐ立った元気すぎる枝は徒長枝と言って樹形を崩すのでイケマセン。

プロじゃないと、太い枝を切るのはなかなか勇気のいること。それでつい枝先ばかり切ってしまう。すると、そこからまたたくさん枝が噴出して「ずんぐりむっくり」した樹形になってしまうんです。

いい枝を見つける目、ダメージを与えない切り位置、時に思い切りよく、でも全体的には一定のリズムがある切り方。また、将来の樹形を想像しながら切れるかどうか。プロとアマの違いはそこじゃないでしょうか。

職人さんは何年も前に鋏を入れた場所もしっかり覚えておられます。厳密に言うと、覚えている訳ではないそうですが、見たらすぐ分かるんだって。

剪定後。一直線にならないよう樹高を考慮しました。1.5m~2m近く切り戻し、枝にもかなり鋏を入れていただいた。おかげで大屋根の姿も鬼瓦も見えて、柔らかく明るく、そして涼し気な雰囲気になりました。

軽快な鋏の音が静かな庭に響きます。それが耳に心地良くって。早朝から夕方までずーっと、全部の木を鋏1本で仕上げられます。太い枝は鋸を使われますけれど、ほとんどの枝は鋏です。

それで思わず馬鹿な質問・・・「こんなにたくさん切って腱鞘炎にならへんの?」

「え?どこが腱鞘炎になるって?」「別にならへんけどwww」

誰に聞いてんねんって。ねー。

ホント失礼しました(*ノωノ)

それで私は何をしていていたかというと。

お客様の意向を職人さんに伝え、どう切ってもらうか全体のバランス考えるのが役目です。初日はお客様がいらっしゃったので、見ていただきながら微調整もします。大きな木の場合、離れたところからどの枝を切るか見たり、また、落ちた枝を片付けたり掃除をしたりと手元(職人さんの補佐)的な仕事も結構忙しいの。

手元の方が別にいらっしゃると、ここまではやりませんけど、大抵の現場で、時に図面を見ながらそんなことをしています。

造園の職人さんは皆さん「気は優しくて力持ち」という方が多いんです。特にディアガーデンのパートナーさんは接しやすく丁寧な方ばかりなんですけれど、一般的に、職人さんにどう伝えていいのかわからないという方は割と多いと思うの。私のような者が間に立つことで、要らぬストレスも減るのではと思います。

庭の中から剪定後の木を仰ぐ。剪定前はあまり見えなかった空がよく見えます。スッキリしました。

画像の部分以外にも、シンボルツリーのケヤキや、前栽の方やら、かなりたくさんの木に鋏を入れました。これから定期的に手入れをさせていただけそうなので、今回大手術的な剪定をした木も含め、良い樹形になるよう、職人さんとしっかり見守りたいと思います。

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それにしても天気がいいのは有難いけれど、蒸し暑くてねー。

でも最後、さっぱりした庭の姿を見るとめちゃめちゃ気持ちいいし、お客様の笑顔で疲れも一気に吹き飛びます。

充実感に包まれて、この仕事をやっててよかったなーと思う瞬間です。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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