酷暑を振り返り、建築と造園で出来る温暖化対策

処暑を迎えました。

まだまだ蒸し暑いけれど、どうやら暑さの峠は越したようです。朝晩の気温が少し下がり、日暮れが早くなり、ようやく息が出来るようになった心地です。

夏の終わりといえば線香花火、かな。夏を惜しむとか切ないなんて気持ちは微塵もないけれど、儚い線香花火を見ると切なくなる(笑)

嬉しいのは時々雨が降るようになったこと。梅雨明け後は殆ど降らなかったから、雨のありがたさが地にも身にも染みます。

今朝のディアガーデンは昨日の雨でいい感じに潤っています。庭に出ると、蓮華升麻の花がすっと伸びた茎の先で揺れていました。

蓮華升麻は、日本特産で1属1種(キンポウゲ科レンゲショウマ科)の宿根草。本州の山地から深山にかけての湿り気のある林下に生えていますから、ディアガーデンでもそれに似た環境に配置しています。

暑い中、俯き加減に咲く花の気品ある佇まいは、まさに一服の清涼剤です。

蓮華升麻の花。ディアガーデンでは晩夏に咲きます。建物の東側のスペースに植えたモミジの足元近くにいます。

それにしてもこの夏は酷暑も酷暑、大酷暑でした。海外では森林火災も多く発生しました。原因とされる温暖化を止めるのは容易ではなく、今後これが異常気象ではなく通常気象になるとのこと。

本当に恐ろしい話です。この流れは造園にも大きく影響します。

日当たりの良い南側で集ったり植物を育てることが難しくなってきました。日除けがないと居られない。南窓が開けられない。水遣りが追い付かないほどに乾燥する、熱を持つ。そして暑さに強い木を植えても葉が焼けてしまう・・・などなど。4月の後半から9月いっぱい、梅雨時期を除くとおよそ5ヶ月はこのような感じですから困った事態です。

住宅を計画するときは、南に広くスペースを取ることが多いけれど、今後は少し考えなければならないような時期が来ているのではないでしょうか。

・・・って、もう私、これを20年近く言い続けているんですけれどもね。

日陰の庭の方が涼しくて過ごしやすく植栽もしやすいです。成長が緩やかなので管理も楽です。水はけのよい状態ながら表土は乾燥させない、そういう土づくりをすれば水遣りは真夏だけ、又はたまにで済みそうです。

日本には日陰や半日陰で美しく育つ植物が沢山あります。先にご紹介した蓮華升麻も明るめの日陰を好みます。日陰の庭で咲く花は華やかさには欠けますが可憐な魅力があります。

まるで妖精が羽を広げ舞っているようにも見えることから「森の妖精」と称されています。雨粒をまとった花は更に風情が増しますね。

また、造園で温暖化の歯止めに少しでも貢献できるかなと思うのは、良い雰囲気を作りながら表土を残すこと。

コンクリートで覆い尽くさずに、石を置いたり、何かを植えることをおすすめしたいです。それにより雨も浸透できますし、熱の蓄積放出を少なくします。小さな生き物の命を繋ぐことも出来ます。

いまの状況は、人間だけが快適であればよいという考えの「ツケ」を払っている。そんな感じがしてなりません。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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