ローメンテナンスな新・宿根草主義の庭へ

毎日ポカポカ陽気。関西ではこれから週末にかけて一気に咲き揃いそうでお花見が楽しみですね。

お庭でも可愛らしい芽があちこち顔を出し始めている頃ではないでしょうか。遅霜の心配もいらなくなって、苗の植えつけにはちょうどいい頃です。ディアガーデンも先だってディスプレイガーデンの植栽を一部リニューアル!苗をたくさん植えました。

主に変えたのは事務所前の花壇。建物の北西に位置し道路からもよく見えるので、ディアガーデンの看板的役割を担う場所です。要は前庭ってことで、常にきれいに見せたい場所でもあります。

でも、日当たりが悪く、風当りが強い、西日もガンガンに当たるという悪条件が三つ揃った難しい場所なんです。

こんな過酷な条件でも生き残った少数精鋭の植物たちは主に自生植物たちでした。楚々とした花、瑞々しい葉、そういう植物たちです。自生植物なので当然ローメンテナンス。

この植栽に定着して5,6年経ちますので、自生種の良さを十二分に味わい尽くしました。いろいろ試した経験から「日陰をローメンテナンスで明るく潤いある植栽に」というリクエストがあったら即座お応えできる自信もつきました。

事務所前花壇。昨年の春の様子。見えているのはアオキ、アジサイ、アマドコロ、ベニシダ、シラン、ハラン、スギゴケ。全部自生種!明るい葉が元気モリモリで場を明るくしてくれています。

結構気に入っていましたが、ここ数年変えたいってずっと思っていました。ディスプレイガーデンは私の実験の場所でもあるのです。常に新しい試みをせねば進化はありません。

そこで、いまやってみたい植栽デザインがあって、それがこの過酷な場所でも成り立つのか?実験にトライします!

新しく招いた植物たち。プリップリです。

それは今より更にローメンテナンスな植栽。それでいて、自然で、風に揺れるようなさり気なさ、かっこよさがあります。そういう植栽はどんな住宅にも合いますから、これからいろんな場所でおすすめしていきたいと考えています。一番過酷なこの場所でもうまく表現できるか?実験開始です。

イメージするのはこんな花壇。ローメンテナンスな新・宿根主義の植栽。

現状の自生種の低木を背景として生かし、宿根草のほとんどは入れ替えました。

強靭なグラス類を中心に、この場所で育つ実績があって乾燥に強いアルテミシア、花は日本にもあるトラノオ系や野放しOKなバーベナ系をピンポイントで植えます。日当たりが悪いので多くは求めませんが、儚げに咲いている感じもまた良いものです。

これまでここで育てていたアマドコロやヤブコウジは他の場所に移植。新しい苗を植えつけて1週間後の様子です。まだ頼りないけれど、もう活着して広がりはじめています。

グラス類は景石や砂利ともよく合います。ススキやカヤツリグサ系といったこれまで雑草とみなされていたような植物にもっと注目したい。彼等は雑な草はではないのだから。和風の庭でも植える量を調整すれば、この植栽デザインを応用できる、モダンで新たな眺めを作れるはず、と思っています。

また、住宅会社さんの作るエクステリア商材とコンクリートだけの「カチンコチンな外構」。それを和らげる緑を取り入れてもらえるように。ローメンテナンスな植栽デザインなら、もっと取り入れて下さらないでしょうか。ディアガーデンならエクステリア商材にもローメンテナンスな緑を添え、見栄える外構にします。

というのも、もともと何も植えずにお引き渡しすると土壌が造成土のまま。お引っ越し後気持ちの余裕が出来て、花でも植えようという気になった奥様は、これまたカチンコチンな造成土では植えられず、結局鉢に植えるしか出来ない。土の量の少ない鉢では水を遣らねばすぐ枯れるという顛末です。土がありながらプラ鉢が無造作に並べられていく不思議な光景は、こういう仕組が原因の一つだと思うの。

ローメンテナンスでカッコいい植栽を広めたい。この実験はさてどうなるか?!うまくいきますように・・・。この夏が楽しみです。また成長の過程を追々UPしますね。

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この記事を書いた人

Dear Garden 代表
ガーデンデザイナー、一級造園施工管理技士

庭づくりを通して感じたことや、最新のガーデン事情、設計について、施工現場の様子、ガーデンデザイナーの暮らしや興味があること、などなど様々なコラムをお届けします。

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